マザー・ハウスに到着したとき、時刻は8時50分だった。マザーの墓がある部屋に行くと、100人くらいの人たちが集まってロザリオの祈りをしていた。先唱のために、マザーの声がテープで流されていた。
事情がよくわかっていなかったのでシスターに尋ねると、このミサはバウ・バザール小教区というマザー・ハウスに隣接する小教区の信者さんたちが、年に1度マザーを記念して行うミサだという。マザーの墓の前では、こうしてマザーを記念するミサが頻繁に行われているらしい。今回の主司式は、シリル神父さんという50歳台くらいのインド人の神父さんだった。教区司祭で、バウ・バザール小教区の主任司祭をしているという。ベンガル語のミサだと困るなと思ったが、幸い英語のミサだった。
ミサが始まって驚いたのは、会衆の中に何人も泣いている人がいたことだった。説教が終わる頃までには、かなりの数の人が涙ぐんでいた。信者さんたちがどれほど深くマザーを慕っているかがよく分かった。帰天後12年にして、まだこれほどまでの思いが残っているというのはすごいことだ。ミサ中、この人々の中にマザーが生きているということをはっきり感じた。マザーを思うこの人々の心の中に、マザーは生きているのだ。マザーの愛が墓から立ち昇り、わたしたち全員を温かく包み込んでくれているようにも感じた。
ミサの最後に、全員が1人ひとり前に出てマザーの遺品が収められているケースに口づけをした。全員が席に戻った後、さらにシリル神父さんとわたしがそれぞれ遺品を持って大きく十字を切り、会衆全体を祝福した。これは、日本ではほとんど見られない習慣だ。
1時間あまりでミサは無事に終わった。わたしの助けが必要だったのかどうか分からないが、聖体拝領などがスムーズに進んだのは確かだろう。手伝わせてもらえてよかったと思う。
※写真の解説…ミサ直前の様子。