カルカッタ報告(89)8月29日川崎理砂さん帰国


 夕の祈りの後、わたしたちはホテルに戻って夕食をとることにした。旅に出て6日目になるが、この旅のメンバーの1人、川崎理砂さんが今晩わたしたちより1日早く帰国することになっているので、彼女の送別会もかねた夕食だった。
 川崎さんは、日本で障害者施設の職員をしている。福祉系の大学を出て以来ずっと介護職員として働いているというから、もう障害者介護のベテランと言っていいだろう。今回、忙しい中でなんとか休みを工面してこの旅に参加してくれた。
 彼女がこの旅に参加した動機の1つは、幼いころに日本で会ったマザーのことをもっとよく知りたいという思いだったそうだ。彼女が小学生のころ、マザーは日本を訪れ各地で講演会をした。そのうちの1つ、宝塚市で行われた講演会に彼女は参加し、幸運にもマザーから直接祝福してもらったのだという。
 この旅を終えた感想を訪ねると、あまりにも短い時間だったので、これでは物足りないとのことだった。ここにもっといたくて仕方がないようだ。だが、日本に仕事がある以上やむをえないことだろう。その思いを胸に秘めて、またいつかここに戻ってくればいいと思う。
 夜10時ころ、旅行会社の人が彼女を迎えに来てくれた。飛行機の出発は明日の午前2時なのだが、空港に着いてからの手続きなどもあるので早めに迎えに来たのだ。わたしたちは、全員で表に出て彼女を見送った。もっとも、見送っているわたしたちも、明日の同じ時間にここを発つことになっている。わたしたちに残された時間は、あと24時間だけなのだ。
※写真の解説…客待ちをする人力車夫たち。ニューマーケットにて。