「わたしにできないことが、
あなたにはできます。
あなたにできないことが、
わたしにはできます。
力を合わせれば、神さまのために
何かすばらしいことができるでしょう。」
マザーのもとを訪れた人が「わたしはあなたのように貧しい人たちのために自分の全てを捧げることができません」と言うと、マザーはいつもこう答えていました。みんながみんなスラム街に出て働く必要はない、一人ひとりが自分にできることを出し合って、協力することが大切だというのです。
実際、マザーのように無償で働いていてはお金を稼ぐことができませんが、貧しい人を救う活動を続けるためにはどうしてもお金が必要です。会社などで懸命に働いて稼いだお金を寄付する人たちがいたからこそ、マザーは活動を続けることができたのです。お金がある人はお金を、土地がある人は土地を、医療技術がある人は医療技術を、言葉の才能がある人は言葉の才能を、一人ひとりがそれぞれできることを差し出してマザーを支えたからこそ、「神の愛の宣教者会」の活動はあれほどまでに広がっていったのです。マザー1人だけでは、何もできなかったでしょう。
マザーは、そのような自分の限界をよく知っていました。だからこそ、たくさんの人と協力できたのです。わたしたちはときに「自分で何でもできる」という傲慢に陥りがちですが、そのような態度では人と協力することはできません。マザーのように自分の弱さ、自分の限界を認められたときにだけ、わたしたちは協力して神様のために何かすばらしいことを成し遂げられるのです。
「自分にはできないことがある」と認められること、自分の弱さを認められることが、人々との協力の中で強さに変えられていきます。自分の弱さを認める謙虚さこそが人と人を結びつけ、大きな力となっていくのです。マザーの生涯は、わたしたちにそのことをはっきりと教えています。