祈りの小箱(12)マザー・テレサ『何かではなく、誰かのために』


マザー・テレサ『何かではなく、誰かのために』
 マザー・テレサはよく、自分たちの働きと他の社会福祉活動やNGOの働きの違いについて、「彼らは何かのために働いていますが、わたしたちは誰かのために働いています」と言っていました。それらの団体が、世界の平和や貧困の撲滅、福祉の向上などの大きな目的のために働いているのに対して、自分たちはただひたすらイエス・キリストと貧しい人たちのために働いている、そこに大きな違いがあると言いたかったのでしょう。
 どれほどの困難に直面しようとも、マザーが活動を続けられた強さの秘密は、どうやらこの違いにあるようです。大きな理想や目的のために働いていると、それがうまくいかなかったときには「何のためにこんなことをしているのだろう」と考え、あきらめてしまいかねません。ですが、「何か」のためではなく「誰か」のために働いている人は、どんなにうまくいかなくても、苦しんでいる「誰か」のことを思い出して頑張ることができます。
 マザーにとって自分が奉仕するべき苦しんでいる人は、まず第一にイエス・キリストでした。苦しんでいる貧しい人々もマザーにとってイエスご自身に他なりませんでしたから、マザーは貧しい人たちのことも忘れることがありませんでした。どんなに辛くても、マザーはイエスや貧しい人たちの苦しみを少しでも減らしたいという一心で、がんばりぬくことができたのです。それが、理想ではなく愛によって生きる人の強さだと言っていいでしょう。
 わたしたちも、仕事に情熱が感じられなくなり、つらさばかりが表に出るようになってきたら、「何のために」と考えるのをやめて「誰のために」と考えてみましょう。わたしたちの仕事によって喜ぶ人たちの顔を思い浮かべれば、きっともう一度「がんばろう」という気持ちになるはずです。もし誰も喜んでくれそうな人がいなかったとしても、その小さな仕事を立派になしとげることで神様はきっと喜んで下さいます。天国で神様がわたしたちの姿を見て喜んで下さっていることを信じて、もう一歩を踏み出したいと思います。
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