マニラ日記(22)スモーキー・マウンテン再訪Ⅲ〜炭焼き小屋


炭焼き小屋
 スラム街を抜け、埋め立て地の入り口に着いた。ここからは、真っ黒な泥でぬかるんだ道を進まなければならない。道の両側には質素な家が立ち並び、あちこちに再生可能な金属ゴミやプラスチックのゴミが積み上げられていた。おそらく、埋め立て地の入り口に廃品回収業者の家が集中しているのだろう。おびただしい量の金属とプラスチックの山が、今でもここでゴミを拾って生活している人たちがたくさんいることを物語っていた。
 わたしたちの姿を見て集まってきた子どもたちにキャンディーを配りながら、さらに先に進んでいった。入り口の辺りの建物はまだ「家」という感じがしたが、先に進むにつれて小屋のような建物が増えてくる。道のあちこちにある水たまりを避け、ぬかるみを飛び越えながらシスターたちはそれらの小屋を次々に訪問していった。
 しばらく歩くと、作業小屋のようなものが立ち並ぶ広場に出た。作業小屋の周りには材木と古タイヤがうずだかく積まれ、ゴムが焦げる臭いと黒煙が漂っていた。シスターたちの説明によると、スラムの人たちが古タイヤを燃やして炭を作っているとのことだった。もともとカーボンをたくさん含んでいるタイヤからはいい炭ができ、高く売れるらしい。
 しかし、ダイオキシンの発生などを防ぐ装置があるとも思えず、作業している人たちや周辺住民の健康に害があるのはほとんど間違いがないように思えた。背に腹は代えられないということなのだろうが、大人たちの作業を手伝ったり、周りで楽しそうに遊んでいる子供たちの将来を心配せずにいられなかった。
※写真の解説…スラム街の一角に作られた炭焼き小屋。たくさんの子どもたちが作業を手伝っていた。