マニラ日記(52)ナトニン村のクリスマス


2010年12月25日(土) ナトニン村のクリマス
 あいにくの雨にもかかわらず、深夜ミサにはたくさんの人たちが集まってくれた。多くの人はシンバン・ガビの9日間から毎日ミサに来ている人たちだった。いよいよ待ちに待ったイエスを迎えるという喜びの空気が、聖堂を満たしているようだった。説教しながら、聖霊の力がこの聖堂にあふれているいるのをはっきりと感じた。
 今朝も、クリスマスの昼間のミサが行われた。8時からの予定だったので7時半くらいから着替えて準備していたが、なんと時間になっても数人の信者さんしか集まらなかった。仕方がないので10分くらい待っていると、ようやく人々が三々五々に集まってきた。8時20分頃、なんとか聖堂の3分の1くらいが埋まったのでミサを始めることにした。ミサの間も次々と人々がやって来たので、聖体拝領までには座席に座りきれないほどたくさんの人が集まった。何か「クリスマスだから教会にお参りに行こう」ということでのんびり出て来たような、そんな雰囲気を感じさせる人たちもいた。もしかすると、日本の初詣の感覚に近いのかもしれない。
 ミサの後、招待されて何軒かの信者さんの家を訪ねていくうちに、その印象はますます強まっていった。どの家でも親戚一同が集まって、団らんの時がもたれていた。男性たちは朝からお酒を囲んで語り合い、女性たちは食事の準備をしながらおしゃべりしている。こうして親戚一同が集まるのは年に1度のことなのだという。どうやら、この辺りではクリスマスが日本の正月と同じような役割を果たしているらしい。
 夜まであちこちの家を周って御馳走になり、また勧められてお米やサトウキビから作った独特のお酒を飲んだので、夜はもう食事がいらないくらいだった。パブロ神父さんも、シンバン・ガビ以来の疲れが出たのか晩ごはんを食べずに寝てしまった。わたしがナトニン教会でミサを立てている間、彼は毎朝3時起きで遠くの村を周ってミサを立てていたのだから無理もない。ここまで体力がもっただけでも驚くべきことだ。明日は日曜日でまたミサがあるから、わたしももう寝ることにしよう。
※写真の解説…招待された信者さんの家で。お婆ちゃんと孫たち。