やぎぃの日記(95)映画『ザ・ライト』


映画『ザ・ライト〜エクソシストの真実』
 臆病なので、普段は怖い映画をわざわざお金を払って観に行くようなことは絶対にしない。マニラでイエズス会フィリピン管区がこの映画の独占試写会を行った時も、他の神父さんたちはみんな観に行ったが、わたしただけは理由をつけて行かなかった。ポスターを見ただけで、いかにも怖そうだったからだ。ただ、観てきた神父さんたちから主人公の助祭を指導するベテランのエクソシストアンソニー・ホプキンスが演じていたと聞き、内容もホラーというより信仰を問うものだったと聞いたので、日本に戻って機会があれば観に行こうと思ってはいた。
 その機会が昨日やってきた。1973年に公開されて大きな話題になった『エクソシスト』に比べればましだったが、かなり怖い映画だったことは間違いない。あの映画でも主人公の司祭はイエズス会員だったが、この映画でもアンソニー・ホプキンス演じるエクソシストイエズス会員だった。両方とも実話に基づく話とされるが、わたし自身はまだエクソシストをしている会員に会ったことがない。
 実際にあんなことがあるのかどうかは半信半疑だが、考えさせられる映画だったことは間違いない。悪魔との戦いの中で自分自身の信仰の原点に立ち返り、それを土台として悪魔に打ち勝っていくという話は、相手が悪魔でなくても同じことだろう。この映画で描かれている通り、絶望的な状況で自暴自棄になりそうになったとき最後に自分の信仰を支えるのは、理屈ではなくて実際に体験したことのある神の愛の温もりなのだと思う。そのような状況に置かれたとき、信仰者が信仰者として踏みとどまることができるかどうかは、そのような体験が信仰の土台にあるかどうかにかかっているとさえ言えるかもしれない。疑いようもないほど明らかで、絶対的な神の愛の体験こそが、疑いを寄せつけないほどの絶対的な信仰の土台になるのだ。わたしにはそんな体験があるだろうか。圧倒的な苦しみに襲われたとき、最後の砦になるような体験がわたしにはあるだろうかと、映画館からの帰りの道すがら自問せざるをえなかった。