やぎぃの日記(106)福島はいま6〜カトリック原町教会


9月中の完成を目指して改修工事が進むカトリック原町教会。
福島はいま6〜カトリック原町教会
 午後、わたしたちは原発から半径30キロ圏内に存在する唯一のカトリック教会である原町教会を訪ねた。4月に来たとき、物資がまったく届かず、取り残された数人の信者さんたちが困っていると聞いたので支援物資を届けに行こうとしたのだが、道路が通行止めになっていて行けなかった場所だ。
 数人の信者さんたちが、突然訪れたわたしたちを温かく迎えて下さった。3月、4月はほとんどの信者さんたちが避難してしまい、周辺もほぼ無人状態になったのだが、5月に入って少しずつ人が戻ってきた。そのころから、仙台の神父様が通ってきて毎週ミサも行われているという。築60年という木造の教会だが、地震による被害は屋根瓦の損傷と壁のタイルが剥落したことくらいで済んだ。現在改修工事中で、9月末には完成するという。「10月からは、しばらくのあいだ教区の神父様がお1人常駐してくださる」と、信者さんたちは大喜びだった。
 隣接する幼稚園でも、開園に向けて準備が進んでいた。現在は緊急時避難準備地区に指定されているため開園できないが、9月に指定が解除されれば開園することができる。十分な除染をして元通り子どもたちを迎えたいが、残念ながら震災前に80人いた園児の大半は避難したままで、開園してもきっと十数人の子どもしか来ないだろうとのことだった。空間線量だけで言えば、ここよりももっと高い福島市二本松市の幼稚園は通常通り開園している。そのことを考えれば、子どもたちが戻るには危険過ぎる場所とも一概には言えない。ここも、大きく判断が分かれるところだろうと思う。
 信者さんたちは、お土産に持って行った来年度版のマザーテレサ・カレンダーをとても喜んでくださった。毎年買って、あちこちにかけて下さっているという。「今度は、マザー・テレサの話をしに来てください。園児のお母さんたちも喜びますから」ともおっしゃるので、「いつでも呼んでください。交通費はいりませんから」とお返事した。いつか実現すればすばらしいことだ。

聖堂の内部。築60年の木造教会ではあるが、被害は屋根瓦の破損、壁からのタイルの剥落などにとどまった。

緊急時避難準備区域の指定解除後の開園に向けて、再開の準備が進むさゆり幼稚園。