【テゼの祈りin神戸2012・終了報告】

テゼの祈りin神戸2012・終了報告

 このブログでたびたび告知させていただいた「テゼの祈りin神戸〜子どもたちの未来のために」が昨日、カトリック神戸中央教会にて大盛況のうちに開催されました。教派の壁を越えて集ったキリストの兄弟姉妹の数は200人あまり。遠くは名古屋や和歌山、奈良、京都から来てくださった方もいらっしゃいました。当日の様子を写真でご報告したいと思います。「テゼの祈り」のCDをお持ちの方は、ぜひBGMとして聴きながらご覧ください。

 今回の集いは、まず信徒会館でのブラザー・ギランによるテゼ共同体の説明と、歌の練習から始まりました。テゼ共同体とは、キリスト教徒同士がカトリックプロテスタントに分裂して争い合っていることに大きな痛みを感じたフランス人、ブラザー・ロジェによってテゼ村に設立された超教派の男子修道会。ブラザー・ロジェが説くゆるしと和解の心は、今回のテーマ「子どもたちの未来のために」ともぴったり合います。子どもたちの未来のために、まずわたしたち自身がゆるし合い、和解し、身近なところから平和を始めていきたいと思います。

 説明と歌の練習が終わった後、沈黙のうちに主聖堂に移動しました。祭壇の前には200個のカップローソクの炎が静かにゆらめき、祭壇の右手にはイエスと弟子が向かい合うイコンが置かれています。まずは、テゼの歌のCDに合わせて壁面に映し出されていく東日本大震災の被災地のこどもたちやフィリピンのゴミの山、インドのスラム街、アフリカの難民キャンプなどで生活する子どもたちの写真を見て、子どもたちが置かれた現実を思い起こしました。

 東京からわざわざ来てくださった秋田さんのリードで、祈りの歌声が静かに会場全体を満たしていきます。1曲目を終え、2曲目に入るころには全員の声が見事に揃い、一致の温もりが会場を包み込んでいきました。響き渡る静かな歌声の中に、確かにイエス・キリストの存在を感じました。

静かにゆらめくろうそくの炎も、わたしたちを深い祈りの世界へと誘っていきます。ブラザー・ギランは、最前列で子どもや若者たちと一緒に床に座って歌っていました。

今回の集いの特徴は、親子での参加が多かったことです。長引く不況の中で、戦争の足音さえ遠くに聞こえてくるような今の日本社会にあって、「子どもたちの未来のために」祈らずにはいられないのかもしれません。イエスの愛に包み込まれた深い安堵感の中で、感極まって涙ぐむ方々もたくさんおられました。

聖書朗読では、マルコ福音書10:13-16が読まれました。イエスが「子どもたちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである」と力強く宣言し、「子どもたちを抱き上げ、手を置いて祝福された」場面です。日本基督教団神戸聖愛教会の小栗献先生の優しい声が、まるでイエスご自身の声のようにわたしたちの心に響きました。

歌声の響きに心を震わせ、深い祈りの喜びを全身で味わっているうちに、あっと言う間に1時間が過ぎてしまいました。最後の祝祷は、日本聖公会ヨハネ教会の藤井尚人司祭から。清らかな声で響く祝福の言葉が、神の救いの確かさを改めてわたしたちの心に刻みつけてくれました。

 最後の歌が終わっても、すぐに立ち上がる人は誰もいませんでした。この恵みのひと時が一瞬でも長く続くことを願い、喜びの余韻を噛みしめていたに違いありません。「神の国」で完成する神の愛の喜びを、ほんのつかの間、先に味あわせていただいた。そんな気持ちにさえなりました。2週間後の12月14日(金)に同じ会場で行われる第54回神戸市民クリスマスで、この喜びを再び味わえることを楽しみにしています。