祈りの小箱(16)マザー・テレサ『神の望み』


福者コルカタマザー・テレサ『神の望み』
 神が望んでおられるのは、何千何万の人々を助ける大事業を成し遂げたり、本を書いて有名になったり、たくさんの賞をもらったりすることではないとマザー・テレサは言います。神が望んでおられるのは、わたしたちがそれぞれに神から与えられた使命を忠実に果たすことだと言うのです。
 神がわたしたちに望んでおられるのが世間的な成功だとすれば、神の望み通りに生きられる人はほんの一握りということになるでしょう。ですが、幸いなことに神はそんなことをわたしたちに望んではおられません。神がわたしたちに望んでおられるのは、それが何であるにせよ、神がわたしたちに与えてくださった使命を忠実に果たすことなのです。
 ある人にとって、それは主婦として家庭を守ることかもしれません。愛する家族のために自分のすべてを差し出して尽くす母の姿を見るとき、神は喜んでおられるに違いありません。ある人にとって、それは人力車を引くことかもしれません。足が弱って長時間歩けない人、仕事で疲れ切っている人、病気の人、そんな人たちの足となって働くことに全力を尽くす人力車夫を見て、神は喜ばれるに違いありません。ある人にとってそれは、道端で野菜を売ることかもしれません。愛する家族のため、野菜を買ってゆく家族の暖かな団らんのため、自分をささげる野菜売りを見るとき、神は喜ばれるに違いないでしょう。もしかすると、ある人にとってそれは大事業を成し遂げたり、本を書いたり、賞を取ったりすることかもしれません。もしその人が自分の栄光を一切考えず、与えられた使命のためだけに全力を尽くすなら、神はきっと喜ばれるでしょう。ですが、その人が世間的な意味で成功したからということで、神が喜ばれることは決してありません。
 大切なのは、わたしたち一人ひとりが自分に与えられた使命に気づき、それに忠実であることです。そして、それは誰にでもできることなのです。大きなことを求めるのではなく、自分に与えられた使命を求めることから始めたいと思います。
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