祈りの小箱(25)福者コルカタのマザー・テレサ『神の声を聞くために』


福者コルカタマザー・テレサ『神の声を聞くために』
 「すべてを通して語りかける神の声を聞きましょう」とマザー・テレサは言います。全ての被造物は神が何らかのメッセージを託してこの世界に生み出したものだから、全ての被造物は神からのメッセージをわたしたちに語りかけている。そのメッセージに耳を傾けなさいというのです。
 考え事に夢中で、誰かから話しかけられたのに気づかず通り過ぎてしまった。そんな体験はないでしょうか。自分の心の中に入り込んでいると、わたしたちの耳は外に向かって閉じてしまうことがあるのです。そんなときには、どんなに大きな音が聞こえてもただの雑音。それらが意味を持った「声」、「メッセージ」としてわたしたちの心に届くことはありません。
 それと同じことが、神様との関係でも起こります。神様は道端にひっそりと咲くタンポポの花や木の上でさえずるスズメ、陽だまりで寝そべる犬や猫を通してさえ人間に何かを語りかけようとしておられます。ですが、普段わたしたちは忙しさに追われ、次にすることや解決しなければならない問題に心を悩ませながらそれらの前を通過してしまうのです。自分のことに没頭しているときには、何が見えたとしてもそれらは「見慣れたいつもの景色」くらいにしか映りません。誰かを通して神がわたしたちに助けを求めたとしても、「忙しいんだからまたあとで」とすげなく断ってしまう。そんなこともあるでしょう。
 会社や学校に遅刻してはいけませんから、いつもは無理だとしても、ときには考え事をやめ、立ち止まって神様のメッセージに耳を傾けてはどうでしょう。一輪の花の美しさを通して神様はわたしたちを「がんばりなさい」と優しく励ましてくれるかもしれないし、鳥のさえずりを通して神様はわたしたちに「そんなこと、気にしなくていいよ」と語りかけてくれるかもしれません。何かを頼まれるのでいつもは面倒だと思っている人の姿からさえ、神様は「あなたはこの世界にいなくてはならない、大切な存在なんだよ」と言ってくださるかもしれません。木々や草花、動物、あるいはわたしたちを必要としている誰かを通して神様からのそんな呼びかけを聞くとき、わたしたちは深い祈りの世界で神と出会っていると言っていいでしょう。
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