初秋の有馬への道
このところデスク・ワークが続いて体に力が余っていたので、お休みを利用して教会から有馬温泉まで歩いてきました。
わたしが働くカトリック六甲教会は「六甲登山口」と呼ばれる場所にあり、山に向かって歩き始めればもう六甲山登山の開始です。まずは油こぶしと呼ばれる峰を目指します。
山道を黙々と2時間ほど歩いて、油こぶしに到着しました。油こぶしは標高650mほどの小高い峰。頂きが明るく開けています。
山上を吹き抜ける涼しい風に揺れるススキの穂。その隣では、マルバハギが薄紫色のかわいらしい花を咲かせ始めていました。六甲山の上は、もうすっかり秋です。
名前の通り、丸い葉っぱが特徴のマルバハギ。六甲山で一番よく見かける萩の花です。
日当たりのよい斜面で、ガマズミが真っ赤な実をつけていました。
この日、平地は夏日で暑かったようですが、山の上は霧がかかって涼しい風が吹いていました。山頂付近に広がる、ウバメガシの群落の中を進んでゆきます。ウバメガシは、備長炭の原料として有名なとても堅い木です。
山頂部の登山道で見つけたセンニンソウ。長く伸びた雄しべが仙人の髭に似ていることからこの名がついたそうです。そう言われてみれば…
大きな木に、何種類かの蔦や草が絡み付いていました。「共生」という言葉が思い浮かびます。
山頂部を通り過ぎて、紅葉谷から有馬に向かって下り始めました。途中、清らかな水の流れる小川をいくつか横切ります。
水辺に咲いたフサフジウツギの花。蜂が一匹、食事の真っ最中でした。
凛として咲き誇るイトハルシャギクです。漢字で書くと「糸波斯菊」。「波斯」というのはペルシャのことだそうですが、原産地は北アメリカです。
有馬に近づいてくると青空が広がり始めました。気持ちのよい山歩きが続きます。
斜面に大きなシシウドが咲いていました。たくさんの花をつけるシシウドの周りには、いつもたくさんの虫や蝶が。まるで山道の食堂のようです。
まるでトトロが出てきそうな山道。トトロは武蔵丘陵だけでなく、日本中に生息していると聞きました。子どもの心を持っていれば、誰でも出会えるそうです。
山道のあちこちで見かけたミズヒキの花。言うまでもないかもしれませんが、結婚式などで使う水引に似ているところからこの名が付きました。
こちらはキンミズヒキ。確かに、太陽の光を浴びて金色に輝いているようにも見えますね。
道端にたたずむ古い切り株。とても存在感があります。旅人たちを見守っているかのうよです。
木漏れ日の中を2時間ほど歩くと、有馬の街が見えてきます。
有馬の入り口に聳える大きな岩。落石注意の看板が続きます。
聳えたつ大きな岩。映画『ネバー・エンディング・ストーリー』に登場した岩石の巨人、ロック・バイターを思い出しました。
あちこちで、種を一杯につけた植物を見かけました。次の世代に命をつなぐ、山の大切な営みです。
写真を撮ったり休憩したりしながら、ゆっくり7時間かけて有馬の温泉街に到着。有馬名物のどろっとした茶色いお湯、金泉にゆっくり浸かって汗を流しました。心も体もすっきりさわやか、大自然の恵みを満喫した一日でした。神に感謝。