祈りの小箱(169)『自分に誇りを持つ』


『自分に誇りを持つ』
 「もっと自分に自信を持て」、「誇りを持って生きろ」というような言葉をよく聞きます。それは、ある意味で正しいアドバイスだと思います。人間は、自分に自信があるからこそ、自分の生き方に誇りがあるからこそ、どんな困難も乗り越えていくことができるのです。問題は、自信や誇りの根拠をどこに求めるかということでしょう。
 ある人たちは、自分を他人と比較することで自分に自信を持とうとします。「わたしは〇〇さんとは違ってこんなこともできるし、あんなこともできる」と考えることで、自分には生きる価値があると確信するのです。そのような人たちは、自分が優れていることを他人との比較の中で証明しなければ生きていくための土台を失ってしまいますから、いつでも「優れた人間」になることに必死です。自分がどれだけ優秀であるかをひけらかし、自分を脅かすような相手に対しては徹底的な攻撃を加えながら生きていくのです。
 ある人たちは、自分を他人と比べることなく、自分が自分であることに自信を持っています。たくさんの欠点を持ちながらも、神様から愛されている自分。神様の愛の中で精いっぱいに生きている自分に自信を持っているのです。この人たちは自分の価値の根拠を、他者との関係ではなく、自分自身との関係に、また神様との関係に置いています。隣人と結びつく横の世界ではなく、天の神様と自らの内なる心に結びつく縦の世界との関係の中に、自分の価値の根拠を置いているのです。縦の関係に自信の根拠を置いた人は、人と自分を比較する必要がまったくありません。神様から愛されていることを実感し、自分自身との間で自分の価値に合意できさえすれば、他には何も必要がないのです。自分と同じようにたくさんの欠点を抱えながらも頑張っている隣人に対して、そのような人たちは心からのエールを送ることができます。
 他人との比較の中で自分に価値を見出そうとしている限り、わたしたちはいつまでたっても自分に自信を持つことができません。天の神様と向かい合い、内なる自分自身の心と向かい合う中で自分の価値に納得できた人だけが、本当の意味で自分に自信を持ち、誇り高く生きられるのです。自分に自信を持つ恵み、神の子として誇り高く生きる恵みを、神様に願いたいと思います。
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