祈りの小箱(190)『タンポポにはタンポポの花』


タンポポにはタンポポの花』
 先日、幼稚園の研修会で、教育学の専門家の方からとても興味深い話を聞きました。長年に渡る教育学の研究の成果として、最近分かってきたのは、「子どもは、放っておいても自分で育つ」ということだというのです。もちろん、教育の必要がないということではありません。教育の役割は、自分の能力を開花させ、自分がなるべきものに育っていこうとする子どもの手助けをすること。育っていこうとする子どもの邪魔をしないことだというのです。
 子どもは、まるで種のようなものだと言ってもいいかもしれません。タンポポの種が、放っておいてもタンポポに育っていくように、子どもたちも自分らしい姿に成長していくための力を内に秘めて生まれてくるのです。わたしたち大人の役割は、子どもたちの成長に一番ふさわしい手助けをすることに尽きるでしょう。タンポポの種に、バラの花を咲かせようとして一生懸命に肥料をやり、手入れをしても、それは無駄なことです。逆に、タンポポは栄養が多すぎて枯れてしまうかもしれません。大切なのは、子どもがどんな可能性を秘めた種なのかを見分け、その成長に一番ふさわしい世話をすることなのです。
 これは、子育てだけでなく、自分自身を育てるときにも当てはまることでしょう。自分が何の種なのかを見極めることが、とても大切です。どんなに頑張っても、タンポポの種がバラの花を咲かせることはできないし、バラの種がタンポポの花を咲かせることもできないのです。自分に一番ふさわしい花を、誇りを持って精いっぱいに咲かせることができたらいいですね。
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