祈りの小箱(219)『謙遜という土台』


『謙遜という土台』
 大きな業績を上げてたくさんの人から褒め称えられる有名人が、一瞬にしてその人気を失ってしまうことがあります。賞賛されたことによって自分は偉いと思い込み、人を馬鹿にするような態度を取り始めたときです。たとえその人にどれだけ実力があったとしても、他のすべての点において問題がなかったとしても、傲慢であるというだけでその人の人間性全体に疑問が生じます。尊敬する人物の傲慢さを目の当たりにした人は、「あの人が、まさかこんな態度をとるとは」と思ってがっかりし、その人から離れてゆくでしょう。
 すぐれた能力を身に着け、業績を上げる前に、謙遜の土台をしっかりと固める必要があると思います。さまざまな能力を身につければ身に着けるほど、たくさんの業績を上げれば上げるほど、わたしたちは大きな誘惑にさらされることになるからです。賞賛の誘惑に負けて傲慢になれば、立っている土台そのものが崩れ、わたしたちはすべてを失うことになるでしょう。謙遜の土台を固める前に賞賛だけを求めるのは、危険極まりないことです。
 人間は誰もが弱くて、不完全な存在だということ。自分もその例外ではないということを、しっかりと胸に刻み付けたいと思います。どんなに能力があり、業績を上げたとしても、それはその人の人間としての本質的な価値を変えません。神様の前では、誰もがみな、同じように弱く、不完全な存在なのです。そのことをわきまえて、すべての人に共感と慈しみの目を向けられる人、たった一人の人さえも見下すことがない人こそ、真に謙遜な人だと言えるでしょう。
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