フォト・エッセイ(56) 東福寺・嵐山の紅葉①


 京都に行ってきた。朝いつものように青谷の修道院で朝のミサを立てた後、大急ぎで電車に飛び乗ってまず東福寺へと向かった。東福寺駅を降りると、もうたくさんの人たちが東福寺に向かって歩いていた。ただ、開門時間の直後だったので、お寺の中はまだそれほど混雑していなかった。今、東福寺の紅葉は「半ば」見ごろと言っていいだろう。通天橋の右手のモミジはまだ青いままなのだが、左手のモミジはもうほとんどが色づいていた。右手のモミジが色づく頃には左手のモミジは散っているだろうから、その意味では今が見ごろなのかもしれない。
 いずれにしても、さすがに京都屈指の紅葉の名所と言われるだけのことはある。なによりも、モミジの数に圧倒された。あれほどたくさんのモミジが一箇所に植えられていて、しかも真っ赤に色づいているところを今までに見たことがない。東京都内の紅葉の名所はだいたい回ったし、日光いろは坂安芸の宮島などの紅葉も見たことがあるが、一箇所にモミジだけがこれだけ集中している場所はなかった。以前から、「京都の紅葉」という言葉は慣用句のようにして聞いていたが、まさかこれほどとは思っていなかった。寺の中を歩き回りながら、「ああ、これが京都の紅葉なのか」とただ感嘆するばかりだった。あれで半分だとしたら、全山が一斉に色づいたとき、東福寺はいったいどんなことになってしまうのだろうか。
 紅葉の鮮やかな赤や黄色にうながされるまま、夢遊病者のように庭園を歩き回りながら写真を撮った。気がついたら2時間が過ぎていた。お昼頃、嵐山の渡月橋で六甲教会の若者たちと合流することになっていたので、名残惜しかったが11時過ぎには東福寺を後にした。







※写真の解説…東福寺のモミジ。