やぎぃの日記(43) 脱力感


 今日からまた教会が動き始めた。この1週間、人気がほとんど絶えた聖堂はまるで深い眠りに落ちているかのようだった。その傍らで、教会の運営に携わっているわたしたちだけが慌ただしく今後の対応などに追われていた。たくさんの会議が開かれ、膨大な時間がインフルエンザについての話し合いの中に飲み込まれていった。
 教会が閉まっていれば暇だろうと思う人もいるかもしれないが、それはまったくの誤解だ。ちょうど地震で閉鎖されていた教会の中で関係者たちが復興に向けて忙しく立ち働いていたように、わたしも次に何が起こるか分からない緊張の中で今後の対応に追われていた。
 昨日の午後ミサの再開が最終的に決定され、夜その他の地区行事をどうするかが決定され、今朝ようやく聖堂が目を覚ました。朝7時のミサには、いつもと変わらず小聖堂に一杯の人が集まった。わたしも共同司式したが、ミサの最中になんとも言えない喜びが心の底から湧き上がってきた。なにより、信者さんたちと一緒にミサを立てられるということ自体がうれしかった。参加した信者さんたちの顔にも、喜びとも安堵ともつかない表情が浮かんでいた。この1週間、みなどれだけこの時を待ちわびていたことだろう。兄弟姉妹たちと共に同じ食卓を囲んで神を讃える喜び、これに勝る喜びが他にあるだろうか。
 午前中は電話などでの問い合わせや久しぶりに訪ねてくる人々への対応に追われていたが、午後になってそれも一段落ついた。とたんに、体から力がどんどん抜けていくのが感じられた。「緊張の糸が切れる」というのはこういうことを言うのだろう。ようやく気を取り直してパソコンに向かっているが、午後一杯、ほとんど何もする気が起こらなかった。今晩はゆっくり休みたいと思う。
※写真の解説…森の中のクリンソウ群落。高山植物園にて。