カルカッタ報告(57)8月27日パーク・ストリート②


 実は日本を発つ前に、事前学習としてメンバー全員で1本の映画を見た。昨年、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門でオスカーを獲得した『未来を写した子どもたち』という映画だ。アメリカ人の女性写真家がカルカッタの売春街に住みこんで子どもたちに写真の撮り方を教え、彼らが撮った写真を世界の通信社に売り込んで彼らの学費を稼ごうと試みる様子を映したドキュメンタリーで、滅多に見ることのできない売春街やその周辺のスラム街の映像が収められている貴重な映画だ。
 その映画の中に、オックスフォード書店が出てきた。子どもたちが撮った写真を人々に知ってもうために、主人公の女性写真家がオックスフォード書店の2階にある催事場で子どもたちの写真展を開くのだ。自分たちが撮った写真の前でテレビのインタビューを受ける子どもたちの晴れがましい笑顔が、とても印象的だった。
 あの映画の世界に自分たちがいるということだけで、メンバーたちはみな興奮したようだった。わたしたちは店の中に入って、しばらくそれぞれに買い物をすることにした。わたしはまず土産物売り場に行き、この店の名物であるカルカッタの街の様子をデッサンした絵葉書を数枚買った。カルカッタの他の場所では売られていない、とても上品なタッチの絵葉書だ。昔は白黒刷りで売られていたが、今回は彩色されたものも売られていた。
 そのあと、しばらく書棚を見て周った。15年前は英語があまりできなかったのだが、それでも他に読むも物がないのでここでマザーに関する本を何冊も買って帰り、ホテルの自室で辞書を引き引き読んだものだ。今でも、その時に買った本を何冊も持っている。メンバーの1人は、ここで"COME BE MY LIGHT"を買っていた。マザーの霊的な闇を全世界に紹介した、衝撃的な本だ。
 オックスフォード書店でしばらく買い物を楽しんだ後、わたしたちは隣のインド料理店に入って夕食をとった。1日のうちにハンセン氏病センター、インド博物館、ハウラー駅などいろいろなところを歩き回って、みな相当疲れているようだった。すばやく晩御飯を食べた後、わたしたちはまたタクシーに分乗してホテルに戻った。時刻はもう9時になろうとしていた。とても長い1日だった。
※写真の解説…パーク・ストリートの閑静な歩道。昼間はシャッターを下ろし、夜だけ開く店も多い。

未来を写した子どもたち(通常版) [DVD]

未来を写した子どもたち(通常版) [DVD]