カルカッタ報告(98)8月30日最後の散歩②


 サダル・ストリートで、わたしたちはブルー・スカイ・カフェに入った。昔、ボランティアの帰りによく寄ったものだったが、今回ここで食事をするのは初めてだ。
 メニューは昔とあまり変わっていなかった。何かあっさりしたものが食べたいと思って、わたしはパスタを頼むことにした。カルカッタ中探してもパスタが食べられるお店はそう多くないと思う。ただ、ここのパスタはインド風だ。深い皿にたっぷりソースをかけたパスタが入っており、その上にチーズが分厚く振りかけられている。一見すると、グラタンと間違うようなパスタだ。でも、味はとてもおいしかった。
 カルカッタでの最後の昼食を済ませた後、わたしたちはチョーロンギーを通ってパーク・ストリートに向かった。今回、まだパーク・ストリートをゆっくり歩いていない。オックスフォード書店の近くで、閉じられたシャッターの前に寝ているお母さんと子どもを見かけた。子どもはまだ10歳くらいだろう。普通の子どもは学校に行っている時間だが、もしかするとこの子は生まれてから一度も学校の門をくぐったことがないかもしれない。一体、この子はこれからどんな人生を送ることになるのだろうか。
 オックスフォード書店に立ち寄ってインド音楽のCDを何枚か買った後、わたしたちはさらにパーク・ストリートを東に進んでいった。1キロほど歩くと、レストランや商店の数は少なくなりオフィスビルのような建物が増えてくる。しばらく歩くと、右手に聖ザビエル・カレッジが見えてきた。今朝、ミサのときに出会ったポノダス神父さんの大学だ。きれいな制服を着てキャンパスを闊歩する学生たちの姿を見ながら、さきほどの子どものことを思い出してわたしは複雑な気分になった。
 インドのイエズス会は、インド各地にいわゆる名門大学を持っており、大統領をはじめとして多くの人材をインド社会に輩出している。他方、社会問題への積極的な取り組みで知られ、ニュー・デリーには「インド社会問題研究所」という世界的に有名な研究所を持っている。特に、不可触民と呼ばれる被差別階層の人々との連帯の取り組みで有名だ。彼らの取り組みが実を結び、インド社会の貧困の問題が改善されていくといいのだが。

※写真の解説…1枚目、チョーロンギー・ストリートにて。2枚目、道端で寝ている親子。