バイブル・エッセイ(117)「わたしがここにおります。」


   ウジヤ王が死んだ年のことである。わたしは、高く天にある御座に主が座しておられるのを見た。衣の裾は神殿いっぱいに広がっていた。 上の方にはセラフィムがいて、それぞれ六つの翼を持ち、二つをもって顔を覆い、二つをもって足を覆い、二つをもって飛び交っていた。彼らは互いに呼び交わし、唱えた。「聖なる、聖なる、聖なる万軍の主。主の栄光は、地をすべて覆う。」
  この呼び交わす声によって、神殿の入り口の敷居は揺れ動き、神殿は煙に満たされた。わたしは言った。「災いだ。わたしは滅ぼされる。わたしは汚れた唇の者。汚れた唇の民の中に住む者。しかも、わたしの目は/王なる万軍の主を仰ぎ見た。」するとセラフィムのひとりが、わたしのところに飛んで来た。その手には祭壇から火鋏で取った炭火があった。彼はわたしの口に火を触れさせて言った。「見よ、これがあなたの唇に触れたので/あなたの咎は取り去られ、罪は赦された。」
  そのとき、わたしは主の御声を聞いた。「誰を遣わすべきか。誰が我々に代わって行くだろうか。」わたしは言った。「わたしがここにおります。わたしを遣わしてください。」(イザヤ6:1-8)

  「わたしがここにおります。わたしを遣わしてください。」この言葉は、わたしが聖書の中で最も好きな言葉の一つです。この言葉を読むたびに、どんなときでも心が震え、奥深いところから力が湧きあがってくるような気がします。わたしの司祭召命の核心に迫るような言葉です。
 この言葉は歌のモチーフにもなっています。"HERE I AM LORD"という英語の歌です。わたしの叙階式の中でも使ってもらった歌ですが、内容は次のようなものです。天地万物の造り主である神が民の苦しみ叫ぶ声を聞き、民を救うために誰か代わりに行ってくれないかと呼びかける。するとその呼びかけを聞いた青年が「わたしがここにおります。わたしでよろしければお遣わしください」と答える、そんな歌です。
 ミサの前に、わたしはいつもこの歌を思い出して祈ります。「わたしは罪人にすぎませんが、もし御旨であるならば、さまざまな苦しみや重荷を背負って教会に集まってくる人々にあなたの愛を伝えるため、どうぞわたしをお遣わしください」と心から祈るのです。すると、不思議な力が心の底から湧きあがって来て、その力に包まれながらミサをお捧げすることができます。
 「誰が我々に代わって行くだろうか。」この呼びかけは、教会に集まる全ての人への呼びかけでもあると思います。現代社会には、助けを求めて苦しんでいる人がたくさんいます。仕事を失った大人たち、受験競争の中で疎外されている子どもたち、子どもから見捨てられた高齢者たち、彼らが発する無数の叫び声が地上に響き渡り、その叫びは神のもとにまで届いています。誰かが彼らに神の愛を伝えなければなりません。そのために呼ばれているのは、他の誰でもないわたしたちなのです。勇気をもって「わたしがここにおります。わたしをお遣わしください」と答えたいものです。
HERE I AM LORD
composed by Dan Schutte
I, the Lord of sea and sky,
I have heard My people cry.
All who dwell in dark and sin,
My hand will save.

I who made the stars of night,
I will make their darkness bright.
Who will bear My light to them?
Whom shall I send?

Here I am Lord, Is it I Lord?
I have heard You calling in the night.
I will go Lord, if You lead me.
I will hold Your people in my heart.

I, the Lord of snow and rain,
I have born my peoples pain.
I have wept for love of them, They turn away.
I will break their hearts of stone,
Give them hearts for love alone.
I will speak My word to them,
Whom shall I send?

Here I am Lord, Is it I Lord?
I have heard You calling in the night.
I will go Lord, if You lead me.
I will hold Your people in my heart.

I, the Lord of wind and flame,
I will tend the poor and lame.
I will set a feast for them,
My hand will save
Finest bread I will provide,
Till their hearts be satisfied.
I will give My life to them,
Whom shall I send?

Here I am Lord, Is it I Lord?
I have heard You calling in the night.
I will go Lord, if You lead me.
I will hold Your people in my heart.