マニラ日記(34)M.C.初誓願式Ⅱ〜マザー・テレサの呼びかけ


マザー・テレサの呼びかけ
 説教が終わって、いよいよ初誓願の宣立が始まった。最初に誓願を立てる6人のシスターが1人1人誓願宣立の決意を表明するのを聞いているだけで、わたしはもう涙がこみ上げてきた。彼女たちはこれから、財産も家族も何もかも後に置きイエスに従っていこうというのだ。名前も古い名前を捨てて修道名を名乗ることになるし、これ以降は誕生日を祝うことさえなくなる。誓願を立てた日が彼女たちの新しい誕生日になるのだ。まだ若い彼女たちがこれほど徹底した自己奉献を誓うというだけで、もう神の愛を確信せずにはいられなくなる。
 続けて誓願文を読み上げていく彼女たちの顔には、一点の曇りもないすがすがしい表情が浮かんでいた。聖霊に満たされて、全身が不思議な輝きを放っているようにさえ見えた。この輝きと共に、彼女たちはこれから世界中に派遣されていくことなる。
 誓願宣立が無事に終わり、ミサは聖餐式へと進んでいった。わたしは聖歌隊に御聖体を配る係になっていた。指示さたれ通りに御聖体を配り終わって席に戻ったときに、不思議な感覚があった。マザー・テレサが耳元で「これがあなたの仕事です。あなたはこのために司祭になったのですよ」とわたしに語りかけたような気がしたのだ。
 マザーがわたしに望んでいたのは、司祭になって御聖体に満ち溢れた神の愛を人々に届けることだったに違いないだろう。今まさにわたしはその望みを実現し、人々に神の愛を証しているのだ。そう思うと、この道にわたしを招いてくれたマザーへの心の底からの感謝と共に、司祭職を生涯全うしていきたいという固い決意が心の底から湧き上がってきた。
 一生の思い出に残るような、本当にすばらしい初誓願式だった。マザーの言葉をしっかりと胸に刻み、今日誓願を立てたシスターたちと共に自分の全てを神に捧げたいと思う。

※写真の解説…1枚目、誓願宣立の様子。2枚目、プスポ神父、ティト神父たちとの記念写真。