マニラ日記(54)クリスマス実習の振り返り


2010年12月31日(金)クリスマス実習の振り返り
 なんとか体調が回復したので、29日の朝のジープでナトニン村を発つことができた。約5時間ほど山道を揺られてボントックの司教館まで辿り着き、1日休んで30日の午後のバスでマニラに帰ってきた。ボントックからマニラまで約13時間ほどかかったので、マニラに着いたのは今朝の4時ころだった。
 今回の実習からは、本当に学ぶことが多かった。一番大きな気づきは、フィリピンの大部分の人たちは、農村や漁村で貧しいながらも人間らしい生活をしているということだ。フィリピンと言うとどうしてもマニラの印象が強く、極端な貧富の差やスラム街の劣悪な生活状況がイメージされがちだ。しかし、マニラのような大都市に住んでいる人たちはフィリピン人の一部に過ぎず、大多数の人たちは農村や漁村で生活している。農村や漁村に住む人々は、現金収入がほとんどないという意味では貧しいが、大自然の中でとても人間らしい生活を営んでいる。まるで、何十年か前の日本の農村や漁村のような暮らしだ。そのような暮らしを「貧しい」の一言だけで定義することはできないだろう。今回、彼らの生活を間近から見ることで、フィリピンの貧困についてのイメージが大きく塗り替えられたような気がする。
 もう一つ強く感じたのは、教会でミサを捧げる喜びだ。シンバン・ガビの早朝ミサの9日間、そしてそれに続くクリマスの日々は、毎日がミサを中心として聖霊の恵みに満たされていたような気がする。毎日、人々と共にミサを捧げられるということは、やはり本当に大きな恵みだと改めて実感した。これこそ司祭職を支える力の源と言っていいだろう。来春にはまた日本に戻って教会で働くことになるが、教会使徒職に派遣されたことを心から神に感謝せずにいられない。
 他にも、大自然の中での素朴な生活を通して聖霊の働きを強く感じたこと、人々との交わりの中で出会いの不思議さをたびたび感じたことなど、学んだことは数えきれないほどある。温かく迎え入れてくださり、たくさんのことを教えて下さったナトニンの皆さんに心から感謝せずにいられない。この実習で出会ったすべての人たちのために、これからも祈りつづけたいと思う。 
※写真の解説…青空に緑の葉を延ばすバナナの木。