やぎぃの日記(109)福島はいま9〜二本松農園2


福島はいま9〜二本松農園(2)
 齋藤さんは現在、インターネットによる通販の他、東京都内での巡回販売にも力を入れている。毎日2台の軽トラックが農園を出発し、都内をぐるっと回って販売してくるのだという。大手のスーパーなどが福島産野菜の仕入れを控えているので、直接売りに行くのが一番効率がいいらしい。福島だからと言って買わない人が7割くらいいる反面、3割くらいの人は福島だからという理由で他県産より優先して買ってくれるので、売れ行きは順調だという。
 積極的に応援してくれるボランティアがたくさんいる一方で、齋藤さんの活動に激しく反発する人も多いという。「東京に放射能を持ってくるな」というのがその主な理由らしい。脅迫めいたメールが送られてくることもあり、齋藤さんは「いつ刺されてもおかしくない」と覚悟しているという。きちんとしたデータが野菜の安全性を保障してくれている限り、「風評被害」とは断固戦う覚悟のようだ。
 もちろん齋藤さんは、買わない人たちを責めている訳ではない。子どもたちやお母さんたちが、放射能が検出されていないにしても、放射能で汚染された土壌から獲れた野菜を避けるのは無理もないことだ。あまり放射能の影響を心配しなくてもいい年齢や状況に置かれた人たちの中で、福島の農家を支えたいという気持ちを持つ人たちだけが買ってくれれば十分だという。
 「もともと利潤の薄い東北の農業。農家がどんなに我慢強いと言っても、このままの状況が続けば、2年ですべての農家が離農するだろう」と齋藤さんは予測する。福島の広大な田畑が、すべて荒れ地になってしまうということだ。農園を見渡しながら「わたしたちはここで生きていくしかないのです」と語る齋藤さんのまなざしには、愛してやまない福島の生活を何としても守り抜くという固い決意が感じられた。
《二本松農園のHP》 http://www.farm-n.jp/
《最新の放射能検査結果を公表する「福島新発売」のHP》 http://www.new-fukushima.jp/index.html
※写真の解説…おいしそうに実ったきゅうり。