福島はいま11〜福島で考えたこと(2)
2.風評被害をなくすために
現在、福島で生じている一番大きな被害は、安全であるはずのものについてまで過度に恐れて差別することから生まれる風評被害だ。それが、福島の農民や畜産業者、観光業者を苦境に追い込み、福島の暮らしを破たんの危機に直面させている。住み慣れた場所での普通の暮らしをなんとか取り戻そうと努力している福島の人々を支援するため、風評被害をなくす取り組みをすることが緊急の課題だと思う。
例えば、今回訪れた二本松農園の野菜からは放射能がまったく検出されていない。それにもかかわらず、福島県産の野菜というだけで売り上げが激減している。これはまさに風評被害だろう。放射能が検出されなくても、放射能を浴びているから危険だというのであれば、福島から来る人や車もすべて危険だということになる。福島の子どもが転校先で「放射能がうつる」などと言われていじめられるケースが報告されているが、福島県産だからという理由だけで野菜の購入を控えるのはそのようないじめとどれだけ違うのだろうか。
「野菜の生産をやめさせて、国が損害を全額賠償すべきだ」という意見もある。しかし、先祖代々耕し続けてきた畑をこれからも大切に守っていきたいと切に願うお百姓さんたちの気持ちを考えれば、福島全域でそこまでするのは酷な気がする。田畑を奪われてしまえば、たとえお金をもらったとしても生きがいがなくなるだろう。何とか農業を続けさせてあげたい。
遠く離れた神戸からできることは限られているが、積極的に福島県産の野菜を購入することで福島を応援していきたいとわたしは思う。
《二本松農園のHP》 http://www.farm-n.jp/
《最新の放射能検査結果を公表する「福島新発売」のHP》 http://www.new-fukushima.jp/index.html
※写真の解説…福島県二本松市、二本松農園にて。