福島のお母さんたち3〜子どもを守るために
そんな中で、テレビや新聞などのメディアは、放射能の危険性について最終的な判断は「自己責任」で行うしかないということを言い始めた。これも全く無責任な話だとお母さんたちは怒っていた。政府もメディアも信頼できず、専門家が言うこともばらばらという状況の中で、一体何に基づいて責任のある判断をしろというのか。このような状況で「自己責任」ということを言うのは、自分たちの責任を放棄し、福島の人々に全ての責任を押し付けるのに等しい。
そんな状況の中で、放射能から子どもたちを守るため、お母さんたちはできるだけ子どもを外で遊ばせない、会津若松など汚染が少ない地域に時々子どもを連れて行って遊ばせる、洗濯物を外に干さない、福島産の食物はできるだけ買わないようにするなど、出来る限りの自衛策をとっている。料理のときにも、食材からできるだけ放射性物質が抜けるような仕方で調理しているという。テレビや新聞、講演会などで最新の情報を手に入れることも怠らない。もはや、子どもは自分の責任で守らなければならないからだ。
福島県の対応も後手後手に回っている。今月になって、ようやく子どもたちの被ばく量を推定するための問診票を送ってきた。7ヵ月前からこれまでの毎日の行動を思い起こし、どこで、どのくらいの時間屋外で過ごしたかをたどることで子どもたちのおおよその被ばく量を推定するというものだ。しかし、7ヵ月前からの子どもの行動を細かく記憶しているお母さんはそれほど多くないだろう。今頃になってこんな問診票を送ってくるという県の姿勢自体に、疑問を抱かざるをえない。調査に応じても、結局自分たちはモルモットのように後世のための研究資料を提供しているだけなのではないかとこぼすお母さんもいた。
※写真の解説…事故から7ヶ月が過ぎて、ようやく送られてきた健康調査票。