「心のともしび賞」
「暗いと不平を言うよりも、すすんであかりをつけましょう。」(テレビ放送)
「心に愛がないなら、どんな美しい言葉も相手の胸に響かない。」(ラジオ放送)
これらのフレーズでおなじみの番組「心のともしび」を制作している「心のともしび運動」が、1952年の活動開始から間もなく60周年を迎えようとしている。この記念の年に先立って、これまでこの運動に協力した人々に、感謝の念を込めて「心のともしび賞」が贈呈された。主な受賞者は遠藤周作氏、曽野綾子氏、三浦朱門氏といった草創期からの番組執筆陣なのだが、この4月から番組原稿を書かせいてただいている関係で、このわたしまで賞を頂くことになってしまった。91人の受賞者の最末席を汚した、という感じだ。
まったく偶然の受賞なのだが、わたしとしては幾分か感慨深いものがあった。なぜなら、わたしはこの番組を通して初めてカトリック教会の世界に触れたからだ。埼玉の中部に広がる田園地帯で農家のせがれとして生まれたわたしは、キリスト教とはまったく無縁の子ども時代を過ごしていた。しかし、朝早く目が覚めてテレビをつけたときに流れてきた「暗いと不平を言うよりも」のフレーズははっきり覚えている。小学校に上がる前後くらいにまで、その記憶をたどることができるような気がする。番組の具体的な内容は何も覚えていないだが、このフレーズは、軽快なテーマ音楽と共に脳のかなり深い部分に刻み込まれているようだ。その番組から賞をもらうことになると、当時、泥にまみれて遊びまわっていたわたしには想像もできなかっただろう。そう思うと感慨深い。
そもそも原稿執筆を頼まれたきっかけは、運動の現在の代表、マクドナル神父様がこのブログに目をとめて連絡してきてくださったことだった。今回の賞の贈呈は、わたしにとってはこの運動をこれから盛り立ててゆくようにという励ましのメッセージと感じられる。その期待に応えられるよう、番組のより一層の充実のため、メディアを通じた福音宣教のために全力を尽くしたいと思う。
※写真の解説…1枚目、2008年の神戸市民クリスマスにて。2枚目、「心のともしび賞」の賞状と記念品。