写真で振り返る2011年・大自然の厳しさと優しさ(8-11月)

写真で振り返る2011年・大自然の厳しさと優しさ(8-11月)

8月末、再び被災地を訪れました。津波から4ヶ月あまりが過ぎたというのに、内陸深くまで流されてきた漁船がそのまま放置されているのに驚きました。福島では放射能汚染の実態がはっきりしていく一方で、それがどのくらい危険なのかがはっきりわからないことから生まれる混乱が人々を苦しめていました。

9月、夏の暑さが落ち着いてきたところで、久しぶりに六甲山に登りました。ここは、須磨アルプス最大の難所である名勝「馬の背」です。毎月のように六甲山に登り、これまでに何十回登ったかわかりませんが、登るたびごとに新しい発見があります。標高はさほどではありませんが、とても懐の深い山です。遭難者が、2カ月後に白骨死体で発見されるという痛ましい事件もありました。

9月には、台風12号がもたらした暴風雨によって紀伊半島で大水害が発生、40人もの方々が犠牲になりました。この写真に写っている那智川の上流だけでも20人以上が犠牲になり、町長の娘さんが結納の当日に亡くなるという悲劇もありました。

秋の彼岸の頃、奈良県の葛城古道を散策しました。彼岸花がこんなにたくさん咲いているのを見たのは、生まれて初めてでした。途中には「高天原伝説」の舞台といわれる村もあり、まさに日本の原風景と言っていいような散歩道でした。また別の季節にも歩いてみたいと思います。

10月、津波で大きな被害を受けた石巻や女川、牡鹿半島を訪問しました。この写真は、牡鹿半島の先端部にある鮎川集落です。津波から半年以上が過ぎているというのに、まるで昨日津波が襲ったかのような惨状が残されていました。復興までの道のりは、まだまだ遠いようです。

11月、紅葉に彩られた大原の里を散策しました。山間にひっそりと広がる大原の里、「山里」という言葉が本当にぴったりする場所です。季節ごとに訪れますが、いつ行っても心を癒されます。

今年は台風12号を初めとする台風の影響でモミジの傷みがひどく、紅葉も期待外れと言われていましたが、山奥の大原までは台風も手が出なかったようです。あまりに美しい紅葉に、しばし時間を忘れて見とれました。夏の暑さや冬の寒さは厳しくても、季節の移り変わりがあるというのは本当に大きな恵みだと思います。