やぎぃの日記(130)シンポジウム「地方教会から見た福音宣教」


シンポジウム「地方教会から見た福音宣教」

 カトリック大阪梅田教会(サクラ・ファミリア)で開催される修道会・宣教会フォーラムのシンポジウムで、我らが神戸地区の宝、山野真美子さんとSr.渡辺かほるが司教様方と並んで地方教会での福音宣教について話すというので聞きに行ってきた。修道会・宣教会フォーラムというのは聞きなれない名前だが、修道会や宣教会の総長や管区長様方、そして司教様方が年に一度集まって日本での福音宣教について考える集いだそうだ。
 少し遅れてわたしが会場に入ると、ちょうど山野さんが話し始めたところだった。阪神・淡路大震災以降、神戸中央教会にあるカトリック社会活動センターの責任者として福音宣教の最前線を走り続けている山野さんは、今回のシンポジウムにまさにうってつけの人物だと言っていい。阪神・淡路大震災の当時、「教会がつぶれて、本当の教会が見えてきた」とよく言われていたが、山野さんも震災をきっかけに新しい人生を見つけ出したという。「震災がなければハウス・キーピングが好きな主婦のままだっただろう」と述懐しておられた。戸惑いながらも新生計画を推進し、ようやく教会が安定してきた最近では、教会自体が自分たちを縛る「枠」になってしまうのを懸念しているということだった。建物の維持管理ばかりに気をとられて守りの姿勢になりがちだというのだ。「枠は必要だが、そのために死んでしまっては仕方がない」という言葉が印象的だった。「建物が建って、本当の教会が見えにくくなってきた」ということだろう。
 Sr.渡辺かほるは、さいたま教区と大阪教区での20年以上にわたる共同宣教司牧の体験を話してくださった。第二バチカン公会議直後の1972年から共同宣教司牧に携わっていたというから驚く。わたしが1歳の頃だ。司祭たちと協力して教区内の家々を周り、教会共同体の土台となる「基礎共同体」作りに奮闘した体験。三田教会に移ってからはニュータウンのお母さんたちのための小さな家庭集会や入門クラスをあちこちで行い、地道な福音宣教を続けてきた体験など、どれも重みのある貴重な話ばかりだった。実際、評議会議長さんを始め今の三田教会を担っているは、そのようにしてSr.渡辺が何年もかけて育ててきた人たちだ。最後に、「このわたしの小さな体験が、皆さんのお役に立つことを願います」と締めくくったのがとても感動的だった。20年以上にわたる地道な実践を「小さな体験」なんて、小さなことでも大きく話したがる私としては穴があったら入りたいくらいだった。
 今、地方の教会が置かれている現実には、将来への楽観をまったくゆるさないほどの厳しさがあるように感じる。そんな中にあって、今回のシンポジウムは福音宣教という大目標に向かって新たに歩みだすための知恵と力を与えてくれた。「ピンチこそチャンス」というシンポジウムのまとめの言葉をしっかり胸に刻んで、明日からの福音宣教に臨みたいと思う。
※写真の解説…六甲山、青谷道にて。