祈りの小箱(50)フランシスコ教皇『神の創造の傑作』


フランシスコ教皇『神の創造の傑作』
 「神の栄光は生きている人間」という聖エイレナイオスの言葉を引用しながら、フランシスコ教皇は、すべての人間は神の創造の業の傑作だと言います。すべての被造物の中で唯一、神の似姿として造られた人間は、生きているだけで十分に価値があるということでしょう。神の前では、すべての生命が同じように限りなく尊いのです。
 ところが、人間はそのことをすぐに忘れてしまいがちです。「あの人は病気だから仕方がない」、「年寄りには困ったものだ」、「あれはまだ意識のない肉の塊にすぎない」、「貧しいのは怠け者だからだ」などと言って、この世の価値観を神の価値観に置き換え、相手の生命の尊さを否定してしまうのです。これは、ほとんど自殺行為と言っていいでしょう。なぜなら、誰にも胎児の時期があるし、誰もが病気になるし、誰もが歳を取るし、誰もが貧しくなる可能性を持っているからです。病人や老人、貧しい人々の生命の尊厳を軽んじている人たちは、自分がそのような状況に置かれたときに一体どうするつもりでしょう。胎児の生命を軽んじる人は、自分が胎児だったとき、どれだけ大切に守られて生まれてきたかを忘れてしまったのでしょうか。
 「神が創造された傑作」であること。これこそ、すべての生命が拠って立つ価値の究極の土台です。この土台の上に、すべての生命が大切にされる文明を作り上げていくこと、それこそ人間に与えられた使命だと言っていいでしょう。まず、自分自身の心にこの事実をしっかり刻み込みたいと思います。
※写真…ケニアスーダン国境の難民キャンプにて。2006年撮影。
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