祈りの小箱(63)『正しいことを言うときには』


『正しいことを言うときには』
 「正しいことを言ってるんだからいいだろう」とばかりに、面と向かって相手の欠点をずばずばと指摘する人をときどき見かけます。確かに、その人の言っていることは正しいのですが、言われた人はどう思うでしょうか。言われた人が受け取るのは、きっと「自分は正しい、おまえはダメなやつだ」という相手のメッセージだけでしょう。当然、腹が立ちますし、相手に反発を感じるに違いありません。「正しさ」という刃物で、ばっさり切り捨てられたようなものだからです。
 正しいことをいうのは、決して悪いことではありません。ですが、正しいことをいうときには、相手の気持ちを十分に考える必要があります。ほとんどの場合、言われた人は相手が指摘する自分の欠点に、うすうす気づいています。そして、これまでの人生の中でそのことに苦しみ、自分なりに改善しようと努力を続けてきたのです。もしかすると、「変わりたいのに変われない」と悩み続けている真っ最中かもしれません。正しいことを言うときには、そんな相手の気持ちを十分に推し測り、相手の気持ちを傷つけないように言う必要があるのです。
 何よりも大切なのは、相手を思いやる気持ち、それを言われた相手の気持ちや苦しみに心を配る愛です。「あなたは〇〇だから間違っている」と切り捨てるのではなく、「あなたはよくやっていると思います。でも、もしかすると、ここだけはこうした方がもっといいかもしれませんね」と相手の気持ちに寄り添うならば、相手はその言葉を素直に受け止めることができるでしょう。愛のない正義が生むのは、怒りや反発、争いだけです。正しいことを語るときには、必ず愛とセットにしたいと思います。
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