祈りの小箱(71)『落ち込まないための秘訣』


『落ち込まないための秘訣』
 自分の思った通りに物事が運ばなかったときや、認めがたい自分の弱さを誰かから突き付けられたとき、わたしたちは落ち込み、「もうだめだ、どうせわたしなんか」と思ってしまいます。ですが、それはもしかすると傲慢かもしれません。自分には思った通りに人々や状況を動かしていく力などないこと、自分は様々な欠点を抱えた弱い人間であることが初めから分かっていれば、どんなに失敗しても、どんなに批判されても、落ち込むことなどありえないのです。
 高い所にあるものは落ちます。ですが、初めから低い所にあるものは、決して落ちることがありません。この当然のことが人間の心にも当てはまるようです。傲慢な高ぶった心、自分は何でもできる完全な人間だと思い込んでいる心は、自分の無力さや不完全さを厳しく突き付けられるとき、自分が自分をおいた高みから真っ逆さまに落ちることになります。うぬぼれが強ければ強いほど、自分を置いた場所が高ければ高いほど、落ちたときの衝撃も大きいでしょう。逆に、遜った心、自分は何も自分の力ではできない不完全な人間だということが分かっている心は、自分の無力さや不完全さを厳しく突き付けられても動じることがありません。それは本当のことだからです。
 人間を滅ぼすための悪魔の策略は次のようなものです。悪魔はまず、財産や名誉、権力などを与えて人間を思い上らせようとします。そして、その人が自分を実際よりもずっと高い場所に置いたところで、その人の無力さや不完全さを突き付けてそこからつき落すのです。落ちた人が絶望し、自暴自棄になるなら悪魔の思うつぼというわけです。この策略に乗らないための唯一の方法は、財産にしても名誉や権力にしても、すべてを神様からの恵みとして感謝して受け取ることです。「こんな無力で不完全なわたしに神様がこれらのものを下さった。ただ神様だけが讃えられますように。」そんな風に考える人に、悪魔は手出しをすることができません。人を見下したり、状況に不満を言ったりして、自分の心が少しでも高ぶり始めたなと思ったら「これは悪魔の策略だ」と考えて、すぐに低い所に降りるようにしたいと思います。悪魔の策略を知っていれば、それが一番の方法だということは明らかなのです。
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