祈りの小箱(77)『愛し、愛される交わり』


『愛し、愛される交わり』
 「愛されているはずなのに愛の実感がない」「一生懸命に愛しているのに愛の実感がない」、そんな声を聞くことがあります。それは、まったくもっともなことだと思います。愛するだけでも、愛されるだけでも愛は不完全だからです。愛の実感は、愛し、愛される交わりが完成した時にこそ生まれるものなのです。
 愛されているはずなのに愛の実感がなく、心に虚しさを感じるという方がいます。たとえば、優しいご主人に愛されているはずなのに、愛されている実感がなく、喜びや力が生まれてこないというご婦人。結婚したころにあった愛されるよろこびはしだいに薄れ、ただ漫然と一緒に暮らしている。そんなことになりがちだというのです。そんな人は、ご主人を愛するための時間をとったらいいでしょう。ご主人がどれだけ自分のことを思い、つらい思いをして働いてくれているか、そのことを思い出して心から感謝するのです。そうすれば、きっと愛の実感、喜びや力が生まれてくることでしょう。神様から愛されているはずなのに愛の実感がないという人にも、まったく同じことが当てはまります。
 逆に、愛しているのに愛の実感がなく、心に虚しさを感じるという方もいます。たとえば、こんなにも患者さんたちのために尽くし、自分のすべてを捧げているのに、愛の実感がないという看護師さん。仕事を始めたころにはあった、患者さんを愛する喜びはしだいに薄れ、疲れがたまって義務感だけで奉仕している。そんなことになりがちだというのです。そんな人は、愛されるための時間をたっぷりとったらいいでしょう。患者さんたちがどれほど喜び、感謝してくれているかを味わう時間をとって、患者さんたちの思いを心にしっかりしみこませてゆくのです。直接、患者さんから感謝を感じ取れないとすれば、一生懸命に奉仕している私たちの姿を見て、神様がどれほど喜んでおられるかを感じましょう。そうすれば、きっと心の奥底から喜びや力、安らぎが湧き上がってくることでしょう。
 真実の愛は、愛し、愛される交わりの中にあります。愛されるばかりの人は、愛するための時間を、愛するばかりの人は、愛されるための時間をとりましょう。愛し合うことで、愛を完成させましょう。
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