祈りの小箱(91)『満たされるために』


『満たされるために』
 どんなにたくさんのものを手に入れても、いつも何かが足りない。欲しかったものをようやく手に入れて、それで満足するかというと、すぐにまた別の欲しいものが出てくる。欲望にとりつかれているとき、人間の心はそのように感じるものです。「必要なものを買っていくと、いつも1万円だけ足りなくなる」という嘆きも聞いたことがあります。欲望にとりつかれた人間の心は、どれだけたくさんのものを手に入れても決して満たされることがないのです。
 では、どうしたら心を満たすことができるのでしょう。そのためのカギは、「感謝」にあると思います。次から次へと新しいものを手に入れるのをやめ、今すでに手元にあるもの、神様がわたしたちに与えてくだったものに感謝するのです。感謝の中で神の愛を深く実感するとき、わたしたちの心の奥深くから温かな愛があふれ出してきます。その愛が、わたしたちの心を満たしていくのです。ものによる満足は一時的な喜びしかもたらしませんが、感謝の中から生まれる愛の喜びは決して消え去ることがありません。思い出して感謝するたびごとに、わたしたちの心を温かな気持ちで満たしてくれるのです。
 感謝を知らない心、何を手に入れても当然と思う心は、決して満たされることがありません。何かを手に入れれば手に入れるほどエゴが膨張し、必要なものがますます増えていくからです。感謝を知らない人の心は、まるで底のないバケツのようなものだと言っていいでしょう。逆に、感謝を知っている人の心は、しっかりとした底のあるバケツのようなもので、受け取った恵みが受け取っただけ蓄えられていきます。そのような人に、たくさんのものは必要ありません。たとえ一時にはわずかな恵みしか与えられなかったとしても、やがては一杯に満たされるからです。感謝のうちに神様の恵みを余さず受け止められる心、底がしっかりと張られている心を持たない限り、どんなにたくさんのものを手に入れても決して心が満たされることはない。そのことを、しっかり肝に銘じたいと思います。
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