祈りの小箱(146)『いまよりほんの少し』


『いまよりほんの少し』
 「みんなで、すばらしい世界を作っていこう」というようなスローガンを耳にすると、わたしたちはつい「でも、わたしにできることなんて限られている」と思ってしまいます。現実の世界を動かす大きな力の前に、自分はまったく無力でなすすべがないと考えてしまうのです。ですが、神様は1人の人間に、世界をすっかりよくすることを願ってはおられません。1人ひとりが自分に与えられた場所で最善を尽くし、この世界をいまよりほんの少しだけいい世界にすることを願っておられるのです。
 ほんの小さなことでもいいのです。たとえば、朝起きて子どもに心からの笑顔を浮かべながら話しかける。お年寄りの話を聞いてあげる。職場や学校で友だちに親切にしてあげる。そのようなことによって、この世界にほんのわずかでも愛を増やすことができれば、それでいいのです。マザー・テレサは「私たちがしていることは大海の一滴にすぎません。ですが、この仕事を止めれば、大海は一滴ぶん小さくなるでしょう」と言いました。マザーが言う大海とは、わたしたちの愛で一杯に満たされたこの世界のことだと思えばいでしょう。わたしたちが愛を注げば、大海は確実に一滴ぶん大きくなるし、注ぐのをやめれば大海は確実に一滴ぶん小さくなるのです。どんなに大きな海も、結局のところは一滴の水の集まりにすぎません。その一滴が大切だ。マザーはわたしたちにそう教えています。
 わたしたちが生まれてきたことによって、この世界にほんのわずかでも愛が増えたなら、争いや憎しみが減ったなら、それだけでわたしたちの人生は意味のある人生になります。わたしたちが今日1日を生きたことによって、この世界にほんのわずかでも愛が増えたなら、争いや憎しみが減ったなら、わたしたちの1日は意味のある1日になります。世界中の人が、ほんのわずかずつでも愛の滴を注いでゆけば、この世界が大きな愛で満たされる日もそう遠い先のことではないでしょう。自分にできる小さなことから始めましょう。
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