『小さなことへの誠実』
教会や幼稚園でのこまごまとした仕事に追われていると、ふと「こんなことを続けていて意味があるのだろうか。わたしはもっと何か大きなことをすべきなのではないだろうか」という疑問が湧き上がってくることがあります。何かはわからないけれども、自分にはもっと他にすべきことがあるのではないか。そんな思いに捕らわれてしまうのです。
これは、典型的な悪魔の誘惑だと思います。神様から与えられた使命に疑問を抱かせ、間違った道に引き込もうとするとき、悪魔はこのような思いをわたしたちの心に吹き込むのです。働かせてもらえることへの感謝の心を忘れ、仕事を重荷に感じ始めている人は、このような誘惑に乗って神様から与えられた使命を捨ててしまいます。しかし、悪魔の誘惑に乗って「もっと大きなこと」を探しても、実はそんなものはどこにもないのです。こうして、人を迷子にし、絶望に陥れるのが悪魔の手口です。
はじめから「大きなこと」を任される人、「大きなこと」ができる人など滅多にいません。次々と起こる問題や、寄せられる相談に誠実に取り組むことができる人だけが、結果として人々から信頼され、「大きなこと」を任されるのです。小さな仕事に誠実に取り組む中で謙遜さを磨き、人間の心や社会の動きを知っていくうちに、「大きなこと」を成し遂げる力が蓄えられると言ってもいいでしょう。初めから「大きなこと」ばかりしたがる人は、「大きなこと」をする力がないばかりか、「小さなこと」さえ出来ない人になってしまう可能性があります。
「大きなこと」は、あくまでも結果にすぎません。神様から与えられた小さな使命を全力で果たす人に、結果として「大きなこと」をする機会と力が与えられるのです。「大きなこと」に気を取られることなく、日々の「小さなこと」に誠実に取り組む力を神様に願いたいと思います。
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