祈りの小箱(198)『あなたは、あなただからすばらしい』


『あなたは、あなただからすばらしい』
 子どもを誉めるとき、つい「〜ができるなんて、きみはすごいね」と言ってしまうことがあります。できるように努力したことをほめ、子どもにやる気を出させるための励ましの言葉ですが、あまり使いすぎるのは危険だと思います。「〜ができるなんて、きみはすごい」という言葉には、「〜ができなければ、きみはすごくない」、「〜ができない人はすごくない」、さらには、「〜がもっとよくできる人は、もっとすごい」というメッセージが暗に含まれているからです。子どもたちはそのことを敏感に感じ取り、「〜ができるかどうか」によって、自分自身の価値を、また周りの人たちの価値を判断するようになっていくことでしょう。「〜ができるなんて、きみはすごい」という言葉によって、わたしたちは「〜ができなければだめ」という価値観で子どもを縛ってしまう可能性があるのです。
 励ますための褒め言葉も大切ですが、その根底には、子どもをありのままに受け入れる愛が必要だと思います。「きみは、きみだからすばらしい」ということがあって初めて、子どもは「〜ができなければだめだ」という呪縛から解放され、のびのびと成長していくことができます。親や先生の価値観によってゆがめられることなく、自分の本来の力を伸ばして、その子どもにしかなれない人間になっていくことができるのです。「きみは、きみだからすばらしい」と言われて育った子どもは、自分と人とを比べることもないでしょう。「自分は自分だからすばらしい。同じように、あの子もあの子だからすばらしい」と思うことができるようになるのです。「何かができなかったとしても、きみは、きみだからすばらしい」ということを絶えず伝えながら、子どもが自由に成長していくのを妨げないような励ましのことば、子どもの努力を讃えるような言葉だけをかけてゆきたいと思います。
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