『ありのままを認める勇気』
ミヒャエル・エンデのファンタジー小説『はてしない物語』の中に、故郷を守るために冒険の旅を続ける勇者が、関門を次々と乗り越えていくという話があります。通過しようとする者を殺してしまうスフィンクスの像が守る第一の関門を命からがら通過した主人公が第二の門にたどり着くと、そこに待っていたのは何と鏡でした。スフィンクスの門を通過した勇者さえ、その前に立つと悲鳴をあげて逃げ出すというその鏡の門。正体は、なんと前に立った人の本当の姿を映してしまう鏡でした。どんな勇者であっても、自分の本当の姿を直視するなら、自分の抱いている理想とはあまりにかけ離れたその姿に恐怖し、悲鳴をあげてしまうというのです。
とても考えさせられる話だと思います。最近よく「ありのままの自分」になると言いますが、この話に従えば、「ありのままの自分」になるとは弱くて不完全で醜い自分の姿を直視し、受け入れるということに他ならないのです。自分で勝手に思い描いている理想の自分、幻想の自分にしがみついている人は、決して「ありのままの自分」になることはできないでしょう。「ありのままの自分」を直視し、現実として受け入れる勇気を持った人だけが、「ありのままの自分」になることができるのです。等身大の自分を受け入れ、気取りも、劣等感もなく自然体で生きていくことができるのです。「ありのままの自分」を直視できるほどの勇者になれるように、神様に勇気の恵みを願いたいと思います。
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