祈りの小箱(163)『自分をゆるしてあげましょう』


『自分をゆるしてあげましょう』
 「ゆるし」というテーマを考えるとき、他人をゆるすのも確かに難しいことですが、もっと難しいのは自分で自分をゆるすことなのではないかと感じることがあります。他人のことをゆるせても、自分の人生をありのままに肯定できる人、自分の弱さや罪深さを直視し、それを受け入れられる人はとても少ないのです。たくさんの人が「わたしの人生はこんなはずではなかった」、「いまのままのわたしではダメだ」と自分を責め、自分で自分を苦しめているようです。
 なぜ、わたしたちは自分で自分を裁き、苦しめてしまうのでしょう。それはきっと、その人の中に、「今の自分ではだめだ、もっと優れた自分にならなければ生きる価値がない」という思い込みがあるからでしょう。それは、大きな誤解です。神様は、たくさんの弱さや罪深さを抱えたありのままの姿のわたしたちを愛して下さっているからです。わたしたち人間は、誰もが弱くて罪深い存在にすぎないけれども、神から愛されているがゆえに生きる意味があるのです。神の愛を受け止め、神の愛にこたえることこそ、わたしたちが生きる意味なのです。
 「今の自分ではだめだ」という思いの中には、かすかな傲慢さも隠れています。そのように言うとき、わたしたちの心の中には、自分は自分の力で今よりもよくなることができると思いがあるからです。はたしてそれは本当でしょうか。どんなにがんばっても弱さや罪深さを克服できない、それがありのままの自分であるならば、わたしたちは自分の無力さを認めるべきでしょう。わたしたちは、自分の力では自分を変えることさえできないくらい弱くて小さな存在なのです。わたしたちにできるのは、自分の弱さ、小ささを受け入れ、神に助けを願うことだけです。
 自分を神から愛された罪人として受け入れ、神の愛にこたえることに生きる意味を見出すとき、「神の子」であるわたしたちの本当の人生が始まります。自分の弱さ、小ささを認めて神に助けを願うとき、「神の子」であるわたしたちの本当の成長が始まります。自分で自分を痛めつけるのは、そろそろやめにしましょう。
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