祈りの小箱(221)『心の傷口』


『心の傷口』
 人から何かを言われて傷ついたときなど、わたしたちはその傷口をよく見ないまま、相手に憎しみを抱いたり、憎しみを自分自身で抱え込んだりしてしまいがちです。そして、傷をよく見ていないために、傷に不釣り合いな過剰反応をしてしまったり、傷を軽く見過ぎたりしてしまうのです。傷にふさわしい手当をしたいなら、まず傷口をよく見る必要があるでしょう。
 傷口をよく見ると、相手がつけた傷はほんのかすり傷にすぎなかったことが分かることもあります。ひどく痛みを感じたのは、まだ完全にふさがっていない別の心の傷に相手が触ったためだったのです。そのようなとき、相手に怒りをぶつけても、痛みが消えることはありません。心の痛みを消したいならば、もともと自分の心にある傷がなんなのかと向かい合う必要があるでしょう。
 逆に、傷口をよく見ると、自分が思っていたよりもずっと重症だということが分かることもあります。アルコールや気晴らしで痛みを消していたけれども、実は心の奥深くにまで達する傷がついてしまった場合もあるのです。そんなときには、時間をかけてじっくり傷と向かい合い、傷を癒す必要があります。軽傷だと思い込んで無理を重ねれば、気付かないうちに手遅れになってしまう可能性さえあるのです。
 心の傷口を見るのは勇気のいることですが、直視しない限り、どんな手当をしていいかは分かりません。自分の心の傷としっかり向かい合うことから、傷の手当てを始めたいと思います。
★このカードは、こちらからダウンロードできます。⇒
JPEG 228『心の傷口』.JPG 直
PDF 228『心の傷口』.PDF 直
★片柳神父の最新刊、『世界で一番たいせつなあなたへ〜マザー・テレサからの贈り物』(PHP研究所)、全国の書店で発売中!