カルカッタ報告(42)8月27日ハンセン氏病センター⑤


 施設を一通り見て回ったあと、再び線路を渡って最初の会議室に戻った。歩き回って少し疲れたわたしたちのために、ブラザーがビスケットとチャイを用意してくれた。
 日本人のボランティアたちと一緒に席につき、施設を見た感想などを話していると、デュアルテ神父が近くを通りかかった。わたしは立ちあがって彼に話しかけることにした。これまで、ゆっくり話す機会がなかったからだ。
 デュアルテ神父はポルトガル人であまり英語を話すことができない。だが、ゆっくり話せば意味は通じるので、身振り手振りを交えながらのんびり話すことにした。話していくうちにわかったのは、彼とわたしの間にいくつかの共通点があるということだ。
 まず年齢が近い。彼は37歳でわたしは38歳だ。彼が叙階されて2年目、わたしが1年目の新米司祭であることも共通している。彼は今、教区司祭としてリスボンの教会で働いているが、今回7人の信徒を連れてボランティア体験のためにカルカッタにやってきた。わたしも教会で働いていて、5人の信徒を連れてボランティア体験のためにカルカッタに来ている。ヨーロッパでも日本でも、若手司祭が考えることは似ているのかもしれない。
 そんなことをゆっくり話しているうちに、わたしはすっかり彼に親しみを感じてしまった。せっかくだからお互いのグループを紹介し合おうということになったので、メンバーたちを呼んだ。あちらのグループは20代くらいの女性ばかり7人だった。こちらは20代から60代までの混成部隊だ。言葉がうまく通じないので十分なコミュニケーションはできなかったが、それぞれ自己紹介をするうちに交わりの輪が少し広がったのは確かだ。
 12時近くにバスに戻り、また1時間近くかけてカルカッタに戻った。帰りのバスでは、疲れが出て眠ってしまった。気がついたとき、バスはすでにA.J.C.ボース・ロードに入っていた。どこかでお昼を食べて、午後はインド博物館やガンジス川を見学することになっている。
※写真の解説…ハンセン氏病センターに隣接するスラム街の子どもたち。後ろに見えている丸いものは、燃料の牛糞。