やぎぃの日記(76)釜ヶ崎・子ども夜回り


 中高生会の子どもたちと一緒に、釜ヶ崎で行われている「子ども夜回り」に参加してきた。「子ども夜回り」というのは、カトリック大阪大司教区が運営している学童保育所「子どもの里」が毎年この時期に行っている、子どもたちを主体とした夜回りだ。六甲教会の中高生会は毎年参加しているが、今年は住吉教会と合同で17名の中高生と4名のリーダーが参加した。
 夜回りが始まる前に、1時間ほど夜回りについての説明があった。そもそもこの夜回りを始めたきっかけは、1983年に横浜で発生した中高生によるホームレス襲撃事件だったという。3名の犠牲者を出したこの陰惨な襲撃事件のことは、わたしもよく覚えている。ちょうど加害者と同じ年齢くらいだったわたしは、事件に対して激しい怒りを感じると同時に、なぜ彼らはこんなことをしたのかと深刻に考えこんだ。
 同じ疑問に駆られた「子ども里」のスタッフたちは、これは子どもたちがホームレスの方々を人間として見ていないからだろうと考えた。そこで、子どもたちがホームレスの方々と直接出会い、彼らの人間としてのぬくもりに触れる場を作るためにこの「子ども夜回り」を始めたのだそうだ。
 その説明のあと、現在も各地で発生しているホームレス襲撃事件についてのお話が「野宿者連絡会」の方からあった。あまりにもひどい襲撃の実態に、子どもたちは皆ただ唖然としながらその話しを聞いていた。「役立たずには生きる価値がない」、「おれたちは街の掃除をしただけだ」という襲撃した中高生たちの身勝手な言い分には、みな怒りとやりきれなさを感じたようだった。
 話しが終わった後、子どもたちはこの冬一番の冷え込みと言われるくらいの寒さの中、リーダーが引くリアカーの後について夜の釜ヶ崎に出発していった。わたしもその後についていったが、あちこちで暖かい交流が生まれていたようだった。この体験が、「役立たずには生きる価値がない」という完全に間違った考え方を彼らの心から拭い去ってくれることだろう。すべての人には、生きているだけで価値がある。すべての人が大切な「神の子」だというのが、イエスの福音であり、わたしたちの信仰だ。
※写真の解説…夜回り中の子どもたち。