カルカッタ報告(105)8月30日さよならカルカッタ①


 玄関の外でメンバーたちと合流し、わたしたちはホテルに向かった。夜10時に、昨日と同じように旅行会社の車がわたしたちを迎えに来ることになっている。それまで、カルカッタでの「最後の晩餐」をして待つことにした。
 食事中、今日1日の出来事やこの旅の感想を話し合った。柾木さんたち3人は午後からビクトリア・メモリアルを見学に行ったのだが、そこでインド人の家族と知り合い、彼らの家に招待されて食事を御馳走になってきたという。まったく思いがけない出会いがあるものだ。もっとも、柾木さんや彼と一緒に行った赤井さんのコミュニケーション能力をもってすれば、そのくらいのことが起こっても不思議ではない。
 1週間にあまりにも多くの予定を詰め込み過ぎたと思うがどうだったかと尋ねると、みんな一様に「確かに疲れたが、これ以上ないくらい充実した旅だった」と言ってくれた。幸い誰も体調を崩さなかったし、まあ、これはこれでよかったのかもしれない。マザーの足跡を辿る散歩やハウラーへの小旅行など、普通のツアー旅行では絶対に味わうことができない体験ができたことは確かだろう。色々な話がでたが、みなそれぞれにマザーとの出会いを体験し、カルカッタの魅力に取りつかれたようだった。
 わたしたちが話しをしていると、昔馴染みのボーイさんがわたしたちのテーブルに何かを持ってやってきた。なんと、わたしたちのためにプレゼントを準備してくれたのだった。彼が手に持っていたのは、色とりどりの絵が描かれたインド風のカードだった。その絵は、彼自身が描いたものだという。わたしのためには特別に、木で作った十字架が準備されていた。十字架には、インド風の顔をしたイエスが描かれていた。その絵も、もちろん彼が描いたものだった。わたしたちは彼に心から礼を言った。この旅は、最初から最後まで驚きと喜びに満たされているようだ。
※写真の解説…A.J.C.ボース・ロードにて。右側の緑色のビルが、わたしたちの宿泊したサーキュラー・ホテル。