マニラ日記(11)絶えざる御助けの聖母Ⅰ


9月29日(水) 絶えざる御助けの聖母
 先週の金曜日に抗生物質を飲み始めてから、目に見えて病状が改善し始めた。日曜日の晩には熱が止まり、月曜日の晩には咳も収まったのだ。残ったのは体のだるさだけだが、それも昨日の午後くらいから大分よくなってきた。一時は昔かかった大きな病気の再発かとも思ったが、もしその病気なら一般の抗生物質は効かないはずだ。もちろん金曜日に医師から検査結果を聞くまで確かなことは分からないが、その可能性はかなり低くなったようだ。
 体調が回復してくると、仲間たちがスラム街でがんばっているのに、わたしだけが楽な生活をしているのが心苦しくなってくる。調子がよければ、せめて数時間でもスラム街を訪ねたいと思って彼らと連絡を取ったところ、今日はスラム街の人たちと一緒にマニラ市内の教会を巡礼する日だという。郊外のスラム街まで行くのに比べれば近いし、回復期の運動にちょうどいいと思ったので、わたしもその巡礼に参加することにした。
 巡礼の目的地の教会まで、アテネオ・デ・マニラ大学があるカティプナンから電車を乗り継いで50分ほどかかった。「絶えざる御助けの聖母」の御絵で有名な、バクラーラン教会が巡礼の目的地だった。「絶えざる御助けの聖母」に捧げられた日である水曜日には、朝から晩までミサと聖体礼拝が途切れることなく行われ、1日で15,000人もの人が訪れるという。
 駅から教会まで10分ほどの道のりには、延々と市場が続いていた。キアポ教会と同じで、教会に訪れる人たちのために市が立っているのだろう。洋服や日用雑貨、食料品などあらゆる物が売られていた。教会の入り口にサンパギータの花飾りを売る人たちがたむろしているのも、キアポ教会と同じだった。(つづく)
※写真の解説…「絶えざる御助けの聖母」の御絵の前での聖体礼拝。