祈りの小箱(28)『ありのままを受け入れる勇気』


ありのままを受け入れる勇気
 友達が善意でしてくれた正しい忠告が、根拠のない中傷に聞こえてしまうことがあります。それは、相手が指摘した自分の弱点を、どうしても受け入れられないときです。
 健全な自尊心を持つことは、生きいていく上でとても大切なことです。ですが、ときにわたしたちは実際の自分よりも少しいい自分、「こうありたい自分」を「実際の自分」と取り違えて、偽りの自分に自信を持ってしまうことがあります。自分を神のごとき完全な存在とみなし、すべてを思い通りに動かしたり、人を裁いたりしようとする人間の根源的な罪、原罪のなせるわざかもしれません。
 このため、誰かが善意でしてくれた正しい忠告が、根拠のない中傷に聞こえてしまうということが起こります。自分が思っている「こうありたい自分」と違う、みじめな「実際の自分」の弱点を突き付けられたとき、それを事実として受け入れることができないのです。そんなとき、わたしたちはまるで自分の人格が否定されたかのような怒りを感じます。そして、相手が間違っていること、自分が正しいことを証明するために相手の悪口を言ってしまうのです。
 ですが、自分を正当化し、弱さを否定し続けている限り、いつまでたっても成長がありません。弱点があることさえ認められない以上、改善のしようがないのです。勇気をもってありのままの自分の弱さを認めるとき、そこからわたしたちの成長が始まります。自分の弱点を冷静に受け止めたとき、初めてなぜその弱点が生まれるのか、どうしたら克服できるのかを考えることができるからです。
 ありのままの自分より立派な「こうありたい自分」になれなかったとしても、がっかりしたり、自分を否定したりする必要はありません。神様は、たくさんの弱点を抱えたわたしたちをありりのまま愛して下さっているからです。そのことを信じて、ありのままの自分の弱さを認める勇気を持ちましょう。
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