フォト・ライブラリー(412)越冬炊き出し2013-2014

越冬炊き出し2013-2014

 2013年12月28日から2014年1月5日にかけて、神戸市役所隣の東遊園地で行われた越冬炊き出しの様子を、写真でご紹介したいと思います。会場となった東遊園地は、神戸ルミナリエの会場だった場所です。この越冬炊き出しも、神戸ルミナリエも、阪神淡路大震災がきっかけで始まりました。

 「好きで野宿をしていると思わないでくれ。仕事がないんだ。できないんだ」と大書された看板。生活保護を受けることを拒む人もいますが、心の底から好きで野宿をしている人は誰もいないでしょう。仕事があれば、家族がいれば、みんなそう思っているに違いありません。

 越冬炊き出し会場の一角に設けられた、阪神淡路大震災以降に亡くなった野宿者の方々のために祈りを捧げるためのスペース。神戸ルミナリエ開催中にも、長いあいだ生活していた野宿者が救急搬送され、病院で亡くなったとのことでした。支援団体が再三にわたって生活保護を勧めたそうですが、本人は「俺のことなんか放っておいてくれ」と拒否。深い心の傷が、彼の命を奪ったと言ってもいいかもしれません。

 12月30日には、年末恒例の餅つき大会も行われました。杵と石臼を使っての、本格的なお餅つきです。日本基督教団の方々が準備してくださいました。

 及ばずながら、わたしも搗き手として参加させてもらいました。杵が意外と重くて大変でしたが、自分で搗いたお餅はひときわ美味しかったです。

 搗きあがったお餅は、ボランティアたちの手で素早く丸められ、ゴマ醤油、大根おろし、きな粉の3つの味付けで振る舞われました。こんなにおいしいお餅、お店でも買うことができません。

 この越冬炊き出しは、普段から神戸の野宿者支援をしているキリスト教系団体が協力して運営しています。隣の神戸市役所の方も自主的に参加して下さり、29日の炊き出しを受け持ってくださっています。神戸エキュメニズムの一つのシンボルと言っていいでしょう。

 越冬炊き出し会場の一角に設けられた「歌声テント」。沖縄出身のご夫婦の伴奏で、集まった皆さんが自慢の喉を披露します。

 さまざまな思いを込めて素朴な声で歌われる懐メロが、心に深く沁みわたります。手品の披露や、ジャズの演奏が行われた日もありました。

 最終日の炊き出しの様子。この日はカトリック教会が担当して、中華丼が配られました。

 大なべで作られる中華丼。この日は、およそ300人分が準備されました。

 ボランティアの皆さんの愛情がたっぷりこもった、栄養満点の中華丼。本当においしかったです。

 わたしも「おじさん」の1人として炊き出しのお世話になりました。心温まるすばらしいひと時でした。最近は、生活保護の浸透で路上生活者がずいぶん少なくなりましたが、支援団体の方の話しでは、これ以上は減らないだろうとのこと。なぜなら、いま残っている方の中には、心に大きな傷を負い「どうせ俺なんか」と自分から野宿生活を選んでいる方や、生活保護を受けてもお金の管理やアパートでの共同生活ができないという方が多いからです。生活保護を受けても、誰も訪ねてくる人がいない薄暗いアパートで、朝から晩までテレビを見ている生活に耐えられないという方がたくさんいます。いずれにしても、物質的支援が限界に達し、これからは心の支援が求められているということでしょう。今後も、地道な支援活動に関わっていきたいと思います。