祈りの小箱(114)『いま自分がすべきこと』


『いま自分がすべきこと』
 聖書に、「明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である」(マタイ6:34)という言葉があります。確かにその通りです。よく考えれば、わたしたちには今日すべきことがたくさんあって、明日のことまで心配しているひまなどないはずなのです。「今日は子どもと十分に話をしただろうか」「寝たきりの友人の家を訪ねただろうか」「祈りの時間を十分にとっただろうか」、そのように考えていけば、1日が24時間では足りないくらいでしょう。「これから先、どうなるのだろうか」と漠然とした不安に心を悩ませているひまがあれば、むしろ、「私はいま神様から与えられた使命をすべて果たしているだろうか」と心配するべきなのです。
 「使命」は「命を使う」と書きますが、まさに使命を果たすとは、1日1日を神様のために使い尽くすということなのです。家族の中で与えられた夫や妻としての役割、社会の中で与えられた職業人としての役割、教会の中で与えられた信徒や司祭としての役割を全うすること。それこそが、使命なのです。使命の完成とは、一時に華やかに実現するものではなく、そのような毎日の積み重ねにすぎません。自分の将来のことをあれこれ心配して、今日なすべきことをしなければ、それこそ本末転倒です。そのようにして今日の時間を無駄遣いしてしまえば、使命は全体としてその分が欠けた、不完全なものになってしまうでしょう。明日のことは神様にゆだねて、わたしたちは今日に全力を尽くせばいいのです。
 神様からそれぞれに使命を与えられたわたしたちにとって、人生は最後まで使命のために費やされる「いま」の連続です。過去や未来というものは存在しません。全力で生きられたいまがやがて過去となり、全力で生きられたいまが未来を生み出していくのです。いますべきことに全力を尽くし、悔いのない人生を作り上げてゆきたいと思います。
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