祈りの小箱(208)『低い所まで下りてゆく』


『低いところまで下りてゆく』
 友だちが崖から落ちて骨折し、助けを求めて叫んでいる。そんなとき、わたしたちはどうしたらいいでしょう。もし本当に友だちを救いたいなら、ロープを使って自分も崖の下まで降り、友だちを背負って登ってくる以外にないでしょう。自分は上にいて、「大丈夫だー。登ってこい―」と叫ぶだけでは、何の役にも立たないのです。
 それと同じことが、人生の大きな試練にあって傷つき、助けを求めて叫んでいる友だちとの関係でも当てはまります。傷ついて立ち上がれない友だちに、上から目線で「がんばれ。まだやれる」などとアドバイスしても、何の意味もありません。もし本当に相手を助けたいならば、自分も相手と同じところまで下りてゆく必要があります。相手の苦しみに深く共感し、相手が落ちてしまった「どん底」まで自分も下りてゆく必要があるのです。その人の苦しみを一緒に背負い、一緒にはい上がってくる必要があるのです。
 イエス・キリストがしたのは、まさにそういうことでした。傷ついて立ち上がれないわたしたちを立ち上がらせるために、イエスは地上に下りてきてくださったのです。わたしたちの苦しみに深く共感し、わたしたちの苦しみを共に担うために、十字架上の死にいたるあらゆる苦しみを味わわれたのです。苦しみの中にいる誰かを救うための方法は、それしかないと言ってもいいでしょう。わたしたちも、そのような仕方で家族、友人、周りの人たちの苦しみにより添える人になってゆきたいと思います。
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