カルカッタ報告(49)8月27日エスプラネード①


 チョーロンギー・ストリートの歩道にはたくさんの露店が出ていた。衣服、食器、カセットテープ、ポスター、工芸品、お菓子、果物、飲み物などありとあらゆるものが道端で売られている。露店の数はニュー・マーケットに近づくほど多くなり、道端を埋め尽くしていった。
 ニュー・マーケットを通り過ぎたあたりで、大きな衣料品店を見つけた。まるで日本のあちこちにある衣料品量販店と同じような店だった。昔は、こんなお店はなかった。入口に立っているピエロの姿の客引きに導かれるまま、わたしたちはちょっと寄り道してこの店に入ってみることにした。
 店内にはジーンズ、ポロシャツ、ネルシャツなどの洋服とサリーやパンジャビ・ドレスなどのインド服がところ狭しと並べてあった。試しにジーンズを手に取ってみたが、品質はそれほどよくなさそうだ。しかし、値段が安い。日本円で1着が300円くらいだ。メンバーの女性たちは、色とりどりのパンジャビ・ドレスが並べられたコーナーから離れられなくなったようだ。こんな場所に来ると、カルカッタも確かに豊かになりつつあるのだと実感できる。だが、どうもそれは一部の人たちの間だけで進行していることのようでもある。
 店を出て歩き始めると、すぐカルカッタの最高級ホテル、オベロイ・グランド・ホテルの前にさしかかった。昔、ここのランチ・バイキングに柳田神父さんたちと一緒に何回か来たことがある。値段は当時、800円くらいだったと思う。カルカッタとしてはありえいくらいの高額だったが、日本のランチに比べればまだ安かった。日本で食べるのと同じ味の本格的な洋食が食べ放題のここのランチは、長期滞在中のわたしにとってとても魅力的だった。
 オベロイの前を通過すると、すぐ前方にコロニアル・スタイルの白い大きな建物が見えてきた。エスプラネードのシンボル、メトロポリタン・ビルディングだ。20世紀の初頭に建てられたもので、今は衣料品店などが入っている。わたしたちはメトロポリタン・ビルディングの前で道を横切り、マイ・ダーン側に渡った。
※写真の解説…チョーロンギー沿いのポスター屋さん。