カルカッタ報告(69)8月28日Mr.ポーロ


 2時頃、カルカッタ半日ツアーの車がわたしたちを迎えに来た。こちらに着いてから、現地の旅行会社に依頼したものだ。日本で予約するより、その方がずっと安く上がる。今日は1人1,200円で案内してくれることになっている。周るのはタゴール・ハウス、ジャイナ教寺院、ビクトリア・メモリアル、そしてカーリー寺院の4カ所だ。前半の2箇所は、実はわたしも初めて行く。
 わたしたちのガイドのために、ポーロさんという日本語のできるインド人がガイドについてくれた。流暢な日本語を話す、40代半ばくらいの穏やかな紳士だった。日本の麗澤大学に1年間留学した経験があるという。カルカッタ北部にあるタゴール・ハウスに着くまで、ポーロさんがカルカッタの街のことをいろいろ説明してくれた。
 カルカッタの人口は公式発表で1,300万人だが、ビハールやバングラデシュからどんどん人が流れ込んでくるから実際の人口はよく分からないそうだ。ポーロさんの感触では1,600万人くらいではないかとのことだった。もっとも、そのうちカルカッタ市内に住んでいるのは半分にも満たず、残りの人々はカルカッタの周辺から通ってくるのだという。カルカッタ市内に住んでいる人たちのうち、25%は年収15万ルピー以上の中流層だとも言っていた。この国では、1ヶ月の給料が2万円以上ならば中流に入るのだ。
 カルカッタで働いている人たちの出身地が、職業からある程度分かるという話もおもしろかった。人力車引きたちがほとんどビハール州出身なのはよく知られている事実だ。彼らが、農作業で鍛えられた頑健な体を持っているからだろう。ホテルなどのガードマンは、ほとんどネパール出身だそうだ。ネパールの人は誠実で、決して裏切らないというイメージがあるのだという。
 車は渋滞でなかなか前に進まなかったが、ポーロさんの話を聞いているだけで飽きなかった。ようやくタゴール・ハウスに着いたとき、時刻はもう3時になろうとしていた。まあ、これもカルカッタ観光の一部だろう。
※写真の解説…金属品を扱う店。A.J.C.ボース・ロードにて。