マニラ日記(39)クリスマス実習1〜サガダ村①棚田


12月11日(土)サガダ村
棚田
 バギオでの休暇を終え、バスで5時間ほどかけてマウンテン州の州都、ボントックにやってきた。13日、14日と2日続けて別の小教区で行われる叙階式に出席するため、これから数日はボントック周辺の小教区を見学して周ることになっている。
 今日は、ボントックからジープニーで1時間ほどのところにあるサガダ村の小教区を担当しているエド神父が、自分の小教区を案内してくれた。行きの車の中で第三修練者の一人がエド神父に「どの街から来たんですか?」と尋ねると、「ボストンだよ」という答えが返ってきた。一瞬フィリピンにボストンという場所があるのかと思ったが、子どもの頃にアメリカに移住したフィリピン系アメリカ人なのだという。数年前に召命の危機を感じて一時アメリカを離れ、フィリピンを旅していた時にたまたまこの地域に立ち寄り、心に深い慰めを感じたのだそうだ。それ以来この地域に居つき、アメリカから派遣された宣教師として働いているらしい。
 エド神父はわたしたちをまず、サガダ村で一番大きな棚田を見渡す場所に連れて行ってくれた。松林の間を抜けてその場所についたとき、わたしたちはみな息を飲んだ。あまりにもスケールの大きな景色だったからだ。山の麓から中腹まで、大きさも形もさまざまな棚田が何十段となく重なっている。これだけの棚田を作るのに、一体どれほどの労力と英知が費やされたことだろうか。この地域に住む原住民、イゴロット族の偉大な遺産を前にして、わたしたちは改めてフィリピン文化の奥深さを思い知らされた。
※写真の解説…サガダ村の棚田。